三陽商会は8日、アウトドアウエアの新ブランドを立ち上げると発表した。雑誌「ポパイ」などで活躍した元モデルでエッセイストの木村東吉氏と組み、おしゃれで機能性も高い商品をそろえる。百貨店の販売が落ち込むなか販路を広げる戦略の一環として、セレクトショップや直営店で来春から売り出す計画だ。

三陽商会は2015年夏に主力ブランド「バーバリー」のライセンス契約が終了し、16年12月期は84億円の営業赤字を計上した。2月に発表した中期経営計画では主力となる百貨店以外の販路の開拓を掲げている。

 新ブランド「5LAKES&MT(ファイブレイクス・アンド・エムティー)」は木村東吉氏が所属するクラウン・クリエイティブ(東京・千代田)と共同開発。もともと木村氏がカヌー教室などで使っていたブランド名で、富士五湖に由来する。

 防水性のあるアウターやかばん、走るのに適したサンダルなどをそろえ、価格はアウターが1万3000〜4万9000円程度。木村氏は「今までのアウトドアウエアはあまりファッショナブルでなかった」と話し、機能性だけでなくシルエットなどにこだわったデザインを打ち出す。

 セレクトショップなど専門店やネット通販で販売するほか、富士山近くの山梨県富士河口湖町に直営店を設ける。「Tシャツなどをおみやげ感覚で買えるようにする」(三陽商会の渡辺恭介理事)。

 海外ブランドのライセンス展開が中心の同社にとって、今回は久しぶりの新しい独自ブランド。岩田功社長は「販売計画は定めず、ブランディングを大切にする」と慎重だが、いかに消費者をひき付けられるかの試金石となりそうだ。
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