水銀の環境への排出を防ぐための国際ルール「水銀に関する水俣条約」が16日に発効した。発効に伴い、水銀を含んだ蛍光灯や電池などの製品の製造や輸出入が2020年までに原則禁止されるほか、今後15年以内に水銀鉱山からの採掘もできなくなる。また途上国での零細小規模金採掘(ASGM)での水銀使用も減らすよう求める。条約事務局によると条約を締結したのは、14日現在で73カ国と欧州連合(EU)。

 国連環境計画(UNEP)によると、人為的に大気中へ排出されている水銀は年間約2000トン。半数以上が途上国でのASGMや、石炭など化石燃料を燃やすことによって排出される。UNEPなどは多量の水銀が排出されていることを問題視し、2009年から条約採択に向けた国際交渉を開始。13年10月に熊本県水俣市と熊本市で開かれた外交会議で採択した。

 採択に際しては、世界最大規模の有機水銀中毒事件「水俣病」の被害を繰り返さない決意を込めた日本の提案で、条約名に「水俣」の地名が冠された。【五十嵐和大、渡辺諒】

 ◇水俣条約=骨子

・化粧品や血圧計など水銀を含む製品の製造や輸出入を2020年までに原則禁止

・輸出が認められた製品でも、輸入国の事前の書面同意が必要

・歯科用水銀合金使用を削減

・零細小規模金採掘は使用を削減。可能なら廃絶

・新規水銀鉱山の開発禁止。既存鉱山からの産出は発効から15年以内に禁止

・石炭火力発電所の水銀排出を削減


8/16(水) 0:10配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170816-00000001-mai-sctch