いま、国内最大級のVRアクティビティ施設が熱い。
エヴァンゲリオンを操縦できたり、かめはめ波が撃てたりするというからさながら“VR遊園地”である。
作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が「VR ZONE SHINJUKU」を訪れた。

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VR=仮想現実を手軽に楽しむ時代が到来している。
発売3年半で6040万台を売り上げた「プレイステーション4」(ソニー)は、VRゲームの基本システムと組み合わせて遊べる家庭用機だ。
そして、いよいよVRブームは第二フェーズへ。
家の「中」から「外」へ、街角へと増殖しつつある。

7月14日、新宿歌舞伎町のど真ん中、巨大映画館の跡地にギャーッ、おおーっと悲鳴と絶叫が交錯した。
コンセプトは「さあ、取り乱せ」。
いよいよ国内最大級のVR施設「VR ZONE SHINJUKU」が出現したのだ。
バンダイナムコエンターテインメントが仕掛ける1100坪の空間に、16種類のアクティビティが詰まっている。

最先端の仮想現実技術を駆使した仕掛けの中で、人はいったいどんな感覚に包まれるのか。
どんな風に「取り乱」してしまうのだろう? 
見たこともない架空世界の遊びには、如何なる演出や技術が駆使されているのだろうか? 
いざ、新宿へ。

◆恐竜の住む森へ

30度を超える夏の新宿。それなのにあたり一面は雪。
白銀の世界が広がっている。吐く息が白く漂っていることに驚く。
仮想現実の急斜面をスキーで一気に滑り降りるとお尻がムズムズ、ぞわぞわ。

続けて恐竜の棲む森へ。背後から突然襲われるのではないか、とビクビク、ドキドキ。
人力飛行機に乗って山肌ギリギリを低空飛行したり、空中散歩したり架空の世界でやりたい放題。
私が体を動かすと、それに連動して映像も動いていく。
景色がめくるめく変わっていく。だからリアル。五感を刺激する仕掛けも生々しい。

「いかに臨場感、没入感を持続させるか試行錯誤を重ねてきました。
白い息が漂う仕掛けはプレイヤーの呼吸をセンサーで逐次、察知して映像化しています」とプロジェクトチーム Project i Canのタミヤ室長こと田宮幸春氏(44)は言う。

「私たちが提供したいのは、既存のゲームでもアトラクションでもなくて、『VRアクティビティ』という新しいジャンル。市場を開拓する決意で取り組んでいます」

「VR ZONE SHINJUKU」の出発点は昨年4月に遡る。
東京お台場に半年間の限定で開設した「VR ZONE SHINJUKU Project i Can」はまさに実験場だったとか。

「本当にVRで人を呼べるのか。お客様はどんな反応をしてくれるのか。手探りで検証していく研究現場でした」

敢えてキャラクターを取り入れず、6種類のVRアクティビティ高所体験、ホラー、スキーの滑降といった疑似体感系を中心に展開したところ想像を超える反響が。

「期間中は連日予約枠が満杯で3万7000人が来場しました。
やっぱりVRはインパクトがあるコンテンツだ、と確かな手応えを得ることができたんです」

VR体験する前と後で客の熱量がまったく違うことが衝撃的だった、と田宮氏。
その経験を元にして、新たな遊戯装置の開発へと向かった。
成果が詰まったこの「VR ZONE SHINJUKU」では、どんな新機軸が?

「お台場では一人で体験するVRが主でしたが、二人、三人と複数で楽しめたらもっと面白いはず。
また、キャラクターものを充実させることによって強くアピールできると考えました。
そこで今回、エヴァを操縦できる『エヴァンゲリオンVR The 魂の座』や、かめはめ波が撃てる『ドラゴンボールVR 秘伝かめはめ波』等、複数で一緒に楽しめる新VRアクティビティを含めまして、16種類を用意しました」

NEWSポストセブン 2017.08.06 07:00
https://www.news-postseven.com/archives/20170806_601527.html

※続きます