【ソウル=山田健一】韓国サムスン電子が7日発表した2017年4〜6月期連結決算の速報値は、営業利益が14兆ウォン(約1兆3700億円)と前年同期比72%増えた。四半期ベースで過去最高となった。スマートフォン(スマホ)やサーバーに載せる半導体メモリーが好調だったとみられる。昨夏に品質問題が起きた自社製スマホも新機種を中心に堅調だったもようだ。

売上高は18%増の60兆ウォン。韓国の証券アナリストの推定では、半導体部門の営業利益は7兆ウォンを超えたとの見方が多い。4〜6月期の純利益や事業部門別収益は今月下旬発表予定の確報値で公表するが、半導体部門は前四半期(1〜3月期)に続いて四半期ベースで最高益を更新した可能性が高い。

 サムスンは、DRAMとNAND型フラッシュという用途の異なる2つのメモリーで世界首位。どちらも成長するスマホやサーバー需要に供給が追いつかず、価格が上昇して利益が出やすくなっている。

 中でもサムスンにとっては、DRAMが稼ぎ頭。同社は4日にNANDの韓国工場に計約20兆ウォンの設備投資をすると発表。採算の良いDRAMで稼ぎながら、東芝と競うNANDの競争力向上策を進めるのが足元の半導体の構図だ。

 アナリストによると、自社製スマホを主体とする「IT&モバイル部門」の営業利益は4兆ウォン程度だったとみられる。4月に発売した最新の旗艦機種「ギャラクシーS8」が寄与した。S8の出荷は発売後約3週間で1000万台を超えるなど順調な滑り出しをみせている。

 サムスンはグループを事実上率いる李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が、朴槿恵(パク・クネ)前大統領側への贈賄の罪などで2月に起訴された。公判のため経営の指揮を直接取れない状況にあるが、会社は主要部門のトップを中心に業績を伸ばしている。
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