http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM12H84_S7A610C1FF1000/

2017/6/12 21:28

 【ドバイ=佐野彰洋】トルコ統計局は12日、1〜3月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期に比べ5%増だったと発表した。事前の市場予想を上回り、2四半期連続のプラス成長を確保した。昨夏のクーデター未遂事件で冷え込んだ景気を、家電購入時の免税や信用保証基金の大幅拡充など政府財政で下支えした。輸出の伸びも寄与した。

 社会保障費や公務員の給与などの政府最終消費支出は9.4%増と高い伸びを記録した。エルドアン政権は大統領権限集中の憲法改正の是非を問うた国民投票に先立つ2月、家電や家具購入時の税減免措置を導入した。3月には中堅中小企業を支援するため信用保証基金の上限を2500億リラ(約7兆8千億円)へと引き上げていた。

 輸出も10.6%増と好調だった。シムシェキ副首相は12日にテレビ番組で「最大の貿易相手である欧州連合(EU)が力強い回復を続けている」と述べた。1〜5月の自動車輸出台数は前年同期比32%増の59万8千台だった。

 現在12%台の失業率を安定的に引き下げていくには5〜6%程度の成長を継続する必要があるとされる。減税による消費喚起は需要の先食いの側面があるほか、市中銀行は信用保証付きローンの急増に預金集めが追い付かない。

 今後は成長のけん引役を民間部門に円滑に引き継げるかが課題となる。経済界の一部からはクーデター後に政府が発令し、延長を繰り返している非常事態宣言が海外からの投資の制約になっているとの不満が上がっているが、エルドアン大統領は当面は維持すると明言している。