異常な値上がりだ。

 ビットコインの急騰が話題になっている。4月に1ビットコインあたり11万円ほどだったのが、今月に入って急上昇。23日には30万円の高値をつけた。わずか1カ月で3倍である。

 高騰の理由はビットコインの利便性が広がっているからだと解説されている。量販店のビックロ新宿東口店は4月にビットコインによる決済サービスを試験的に開始。航空会社のピーチも年内に取り扱う予定だ。現在、ビットコインで決済可能な店は4000店だが、年内に5倍の2万店以上になる勢い。メディアはこうしたビットコインの躍進が急騰を呼んだと煽っているが……。

「それではビットコイン相場の一部しか見ていません」とはITジャーナリストの井上トシユキ氏だ。

「ビットコインがスタートしたときから、買っている人は中国人が多く、ピーク時は9割が中国人といわれました。いまも7割は中国人でしょう。中国の小金持ちは自国の経済が先細りになると読んでいて、手持ちの人民元をドルに換えたい。だけど元でドルを買うのは金額が制限されている。そこでいったんビットコインを買って、その後ドルに換えようと考えているのです。これに加えて中国政府がビットコイン取引に規制をかけるという話もあり、“いずれ買えなくなる”との不安感から買い漁っているのです。ショッピングに使おうという人はほとんどいないでしょう」

日本人でも買っている人がいるが、大半は値段が上がったところで売り抜けようという投資目的だという。FX(外国為替証拠金取引)で損した個人投資家が負けを取り返そうとして買っているそうだ。

 ビットコインは、まだまだ上昇するのか、それともすでにバブル化しているのか。

「株式市場では相場が急騰すると“ストップ高”がかかり、大勢のアナリストが多様なリポートを出すなど“適正価格”が模索されていますが、ビットコインは無政府状態。レフェリー不在のうえに情報が少ないところで大勢の素人がバクチをしている状態です。江戸時代の賭場みたいなもの。私の周辺の投資家は一様に『ビットコインはすでに危険水域。いつ暴落するか分からない』と言っています」(井上トシユキ氏)

 迂闊に飛び込まないほうがいいかもしれない。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/206181/1