2017/5/18 21:03

 米トランプ大統領とロシアの不透明な関係を巡る「ロシアゲート」に対し、投資マネーが警戒を強めている。
米大統領選後に期待が高まった大規模減税などトランプ氏の政策の実現性に疑問符がついたためだ。
投資家は株などリスク資産を売却し、安全資産とされる円や先進国債券に逃避。17日の米国株に続き、18日の日本株やアジア株も軒並み下落した。

http://www.nikkei.com/content/pic/20170518/96958A9E93819596E3EA9A96858DE3EAE2E7E0E2E3E59793E0E2E2E2-DSXMZO1657767018052017EA2002-PN1-3.jpg

(1万9553円で取引を終えた日経平均株価と下落する世界の株価指数(18日午後、東京・八重洲))

 「日経平均の2万円台回復は相当先になりそうだ」。三井住友アセットマネジメントの平川康彦氏は肩を落とす。
18日の東京株式市場では朝方から売りが膨らみ、日経平均株価は前日比261円02銭(1.32%)安の1万9553円86銭と、今月2日以来約2週間ぶりの水準まで下げた。

 相場の下げを主導したのは銀行や自動車など米景気拡大や金利上昇を見込んだ「トランプ相場」の主役を演じてきた銘柄。日経平均は一時365円安まで下落した。

 投資家がリスク資産から資金を引き揚げる「リスクオフ」の動きが強まったのは17日の米国株市場から。
米司法省がロシア疑惑の調査を指揮する特別検察官を設置したと発表したことで、ダウ工業株30種平均は急落。17日は372ドル安と、
昨年11月の米大統領選後で最大の下げ幅を記録した。

 株価が大きく反応したのは、株高を支えてきたトランプ氏の政策に対する期待が大きく後退したためだ。
中でも市場の期待が大きかったのが法人減税。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の試算では、
連邦法人税率が現行の35%から15%に下がれば米主要企業の1株利益の伸び率が12%から34%に高まるという。

 市場はトランプ政権の混乱が米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に影響を与えることも警戒する。
米利上げ確率を予想する米CMEグループの「FEDウオッチ」によると、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げする確率は18日時点で7割を割り、8
割を超えていた1週間前から急低下した。

 外国為替市場では日本時間17日夜から安全資産とされる円を買ってドルを売る動きが加速している。
18日は一時1ドル=110円台半ばと約3週間ぶりの円高・ドル安水準をつけた。円以外にも、安全資産とされる米国債や金にも投資家の資金が向かっている。

 三井住友銀行の佐藤慎介氏は「市場はトランプ氏の話題一色だ。短期的には1ドル=110円を超えた円高・ドル安を試しにいきそうだ」とみる。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGD18HDW_Y7A510C1EA2000/?dg=1&;nf=1