崩壊する前から、ソ連には深刻な問題がありました。

まず、ソ連政府はひどい財政難でした。
この原因は、ソ連が長年にわたり軍拡を続け軍事費がかさんでいたことや、企業や一部の個人に多額の補助金を出していたことなど、たくさんあります。
帳簿上はうまく行っているようにみせかけていましたが、実態は火の車でした。

また、ソ連共産党による全体主義体制が続いていました。
このような全体主義体制はたいてい、特権階級と一般市民の間に、大きな格差を作ります。
今の北朝鮮が良い例ですね。北朝鮮では、金正恩をはじめとする政府高官に近い人ばかりオイシイ思いをしています。

ソ連も北朝鮮と同様、党や軍などの特権階級が、国家の富を独り占めにしていました。
このような特権階級に一般市民が入るのは、ほぼ不可能でした。

こうなると、一般市民はやる気と希望をなくし、仕事をサボるようになります。
皆がそうなってしまうと生産性は上がらず、国の経済全体がダメになっていきます。
生産性は低く、近代化も遅れ、自由主義・資本主義を唱えるアメリカや西側先進国との経済格差は、ますます開いていきました。

このように、ソ連の経済は長年にわたり腐りつつありました。
にも関わらず、ソ連政府は軍事費や補助金を相変わらず出し続けていました。
こんなことをしていると、当然、いきづまります。
そんなときにゴルバチョフが出てきて、ソ連を立て直そうと改革に挑戦したものの、紆余曲折あって失敗しました。

結局、1991年の12月25日、ソ連は崩壊します。
その後、エリツィン大統領が率いるロシア連邦が成立しました。

では、崩壊前後、経済面ではどんなことが起きたのでしょうか。

いろいろなことが起きましたが、特筆すべきは、ソ連崩壊後、もともと起きていたインフレがさらに加速したということです。

そもそも、インフレとはなんでしょうか。
ひとことで言うと、インフレとは、その国で使われるおカネの価値が下がることです。
モノの値段もたいていあがります。たまに値段が下がるモノもあるので一概にはいえないのですが、たいていのモノの値段は上がるので、インフレのときはモノの値段が上がると考えてしまってもいいでしょう。
「インフレ=おカネの価値が下がる。たいていのモノの値段は上がる」と覚えてください。

また、モノの値段が上がることを、物価が上がるといいます。
どれだけ上がったかという割合を、「インフレ率」や「物価上昇率」などと言います。

話を戻すと、1992年のロシアのインフレ率は、なんと約2500%でした。
たとえるなら、1個100円だったコンビニのおにぎりが1年で2500円になってしまったり、250万円あった銀行預金が1年で10万円になってしまうような感じです。
想像すると怖くなりますね。

参考までに、1993年、94年、95年も、ロシアのインフレ率はそれぞれ900%、300%、200%くらいありました。
単純計算すると1992年から1995年までで、物価が1000倍以上になったことになります。
1個100円だったコンビニの菓子パンが、1個10万円になったような感じです。すごいですね。

では、なぜこの時期にロシアでこんなすさまじいインフレが起きたのでしょうか

最大の原因は、ソ連時代に生み出された膨大な財政赤字です。
ロシア連邦は自分たちはソ連の継承国だと宣言したので、ソ連の債務も引き継ぎました。
一般的に、膨大な借金があると国家の信用力は低くなります。

※一部引用
http://agora-web.jp/archives/2025851.html