関西の第二地方銀行が個性化戦略を推し進めている。旧相互銀行をルーツとする第二地銀は、地方銀行より規模が小さく、かつては営業面で不利な戦いを強いられた。しかし、富裕層の囲い込みや学生へのアピールが奏功し、力をつけ規模も拡大。地銀と第二地銀という行政による旧来の区分は、ほとんど意味をなさなくなっている。

■格下の烙印

 「第二地銀で不自由なことは何もない。(地銀と)違うのは所属する団体だけだ」。兵庫県を地盤とするみなと銀行の服部博明頭取は強調する。

 第二地銀は、「無尽」と呼ばれる互助会組織が転換した相互銀行が前身。第二地方銀行協会(41行)を組織するが、全国地方銀行協会(64行)の担当者は「業務内容は全く同じ」と説明する。

 しかし、一般的に地方銀行の方が規模が大きいこともあり、ある第二地銀の幹部は「地銀は、いつまでも第二地銀を格下に見ている」と話す。

 第二地銀は相互銀行時代から苦難の歴史を歩んできた。地域の有力企業は地方銀行に押さえられ、中小企業が振り出す手形に「相互銀行」と記してあると、「信用度が落ちる」と言われたこともあったという。一方で中小・零細企業を開拓しようにも、小回りのきく信用金庫に出遅れた。

 過去には、リスクの高い不動産開発への無理な融資や、オーナー経営者による情実融資もあり、バブル崩壊後の約20年前には、第二地銀の破綻が相次いだ。

■独自色でイメージ向上

 波乱の時代をくぐり抜けた第二地銀は、20年以上かけて体質改善を進め、独自の戦略を打ち出せるところまできた。

 みなと銀は、7月に学園都市支店(神戸市)内に学生との接点を増やすための情報発信カフェを開設する計画。また、地元信金と共同で観光ファンドを設立するなど、地域活性化をテーマに柔軟な提携戦略を打ち出している。

 関西アーバン銀は、一定以上の預金残高があることなどを条件とする会員組織を設置し、専用の「プラチナラウンジ」や資産運用相談スペースなどで手厚いサービスを展開。「投資信託販売などの伸びにつながっている」(広報)という。

 同行は、就職情報会社「マイナビ」による「大学生就職企業人気ランキング(2017年卒文系)」で86位と、地域金融機関として唯一ベスト100入りを果たし、金融機関の採用担当者の間で話題の的となっている。

 日本総合研究所研究員の吉本澄司氏は「今の学生は地銀、第二地銀という区別にこだわっていない」と指摘。決して番狂わせではないとの見方だ。

 第二地銀のみなと銀、関西アーバン銀、地銀の近畿大阪銀行は今年3月、経営統合に向けた協議を進めることで合意した。このうち平成28年3月期の預金残高、貸出金が最も多いのは関西アーバン銀。地銀と第二地銀を区別するのは、時代遅れのようだ。

2017.4.25 07:00
http://www.sankei.com/west/news/170425/wst1704250001-n1.html