https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-04/QBDGC1T0G1L101
マティス氏がトランプ氏を非難−「米国を分断しようとしている」
John Harney 2020年6月4日 9:06 JST 更新日時 2020年6月4日 11:07 JST

●現職大統領を元閣僚が公然と非難するのは極めて異例
●エスパー国防長官も抗議デモへの軍動員に反対を表明

マティス前米国防長官は、白人警察官による黒人暴行死への抗議デモの鎮圧に米軍部隊
の動員も辞さないとしたトランプ大統領を強い調子で非難した。

マティス氏はアトランティック誌に3日遅く掲載された寄稿で「ドナルド・トランプは
私の人生で初めて、米国民を団結させようとせず、その素振りさえ見せない大統領だ。
その代わりに、彼は米国を分断しようとしている」と批判した。
さらに「われわれが目の当たりにしているのは、過去3年にわたるこの意図的な取り組
みの結果であり、成熟したリーダーシップ不在の結果だ。われわれは米国の市民社会に
内在する力を利用し、彼抜きで団結できる」と述べた。

現職大統領を元閣僚が公然と非難するのは極めて異例。マティス氏は2018年12月、米軍
シリア撤退を巡るトランプ氏の決定に異議を唱えて国防長官を辞任した。

エスパー国防長官はこの日、軍隊を配備して抗議デモの鎮圧に当たることに反対を表明
していた。
大統領報道官は記者会見で、軍動員を巡りトランプ氏と異なる見解を表明したエスパー
氏について、国防長官としての立場は引き続き変わらないと述べるにとどめた。

マティス氏の非難が持続的な政治力を持つかどうかは不明だが、トランプ氏が自身の強
みの1つとして訴えてきたことの核心部分を突くものではある。これまでトランプ氏は
自身が掲げる「アメリカ・ファースト」主義の一部として米軍を過度に称賛してきた。
ホワイトハウスと国防総省の当局者にマティス氏の発言に対するコメントを求めたが、
今のところ返答は得られていない。