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トランプ“目の敵”人物図鑑 その1 テドロスWHO事務局長
2020年04月19日 09:31
【まとめ】
・「中国寄り」との理由でトランプ氏がWHOへの資金拠出停止を表明。
・下院で多数を占める民主党が停止に反対。恐らく実現しないだろう。
・拠出停止表明は、再選に向けて愛国心煽る「中国とのバトルごっこ」。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は14日の定例記者会見で世界保健機関(WHO)への
資金拠出を停止すると息巻いて海外ニュースにもとりあげられたが、これは2016年の就任
直後から何度も繰り返されている中国との「バトルごっこ」の最新事例に過ぎない。

「ごっこ」というのは、もちろんトランプは本気で中国と経済や軍事で真っ向から一戦を
交えるつもりはない。中国で安く生産された輸入品が入ってこなければアメリカ人は明日
から何もできなくなってしまうほど(約5000億ドル)依存している。かつてトランプ自身
が自慢げに売り込んでいたトランプブランドのネクタイも、熱狂的な支持者が被る赤い
「MAGAハット」(トランプのスローガンMake America Great Againと機械刺繍されている)
もメイド・イン・チャイナなのだ。

終わりが見えない米中の貿易戦争で、中国産商品に課せられた「タリフ」と呼ばれる関税
を支払うのはアメリカ国民なのだが、トランプは頑なにタリフによって中国にツケを払わ
せているのだと言い張り、共和党御用達のフォックスTV局でさえ、関税は輸入品を買う消
費者が支払うものだと解説しても、トランプは再選へのラリーでゼノフォビア(xenophobia
:外国人嫌悪)に凝り固まった支持者に「中国にタリフをかけてやった」と息巻いている。

世界規模のパンデミックが広がりをみせる中、資金を凍結するという非人道的な措置だが、
おそらく実現はしない。三権分立のアメリカでは、大統領ひとりの権限で金の流れを好き
勝手に止めることはできないからだ。既に米国会のナンシー・ペローシ下院議長は、これ
を「違法であり、断固阻止する」と明言している。トランプは「この2?3か月でWHOの調査
をする」と発言したが、その間に決行しない言い訳を出してくるはずだ。