欧州の政府も、数値が1未満になったと述べているが、新型コロナとの戦いに勝利したと言う
にはほど遠く、数値は再び上昇する可能性があると強調している。フランスのエドゥアール・
フィリップ首相は19日、フランスではこの変数が0.6に低下したと述べ、3月17日から実施され
ている封鎖措置のおかげで感染拡大のスピードが「急激に落ちている」ことを示すものだと語
った。

最近の数値は、何も対策がなされなかった場合の再生算数として多くの研究で推定されている
平均3〜4から大幅に低下している。感染のスピードが落ちなければ、一部の重症患者によって
大半の国々の医療システムが崩壊する恐れがあった。

欧州連合(EU)の疾病対策をまとめる欧州疾病予防管理センターが引用した12件のモデリング
研究の精査によると、新型コロナ対策を何も取らなかった場合、基本再生算数は約3.28になる。
新型コロナが発生したとみられている武漢での事例について中国の科学者が主導して行った研
究では、厳格な都市封鎖によって再生算数は3.86から0.32に低下したことが示されている。

基本再生算数の推定値は、確認された感染者数および入院者数の伸びに関する情報に基づいている。

フランスのフィリップ首相は19日、再生算数の推定値について、現在5月11日までとなっている
封鎖措置を段階的に解除する際に使用する数値の1つになると述べた。
英国では政府の主席科学顧問パトリック・バランス氏が先週、国内の再生産数は1を割り込んだ
可能性が非常に高いが、恐らく0.5を上回っていると述べた。これは、新型ウイルスの流行は縮
小しているが縮小ペースは不透明という意味だ。
バランス氏は、再生産数が再び1を超えると危ないと強調した。「そうした上昇を予測・検知す
るのは非常に難しく、第2のピークを迎えるリスクがある。そうなれば国民の健康と経済に大き
な打撃を与える」という。また、病院や介護施設では再生産数がより高い可能性があると述べた。

ドイツでは、再生産数の推定値低下を受け、政府が経済活動の封鎖を一部で慎重に解き始めた。
新型コロナに関する医療対応を同国政府に助言するロベルト・コッホ研究所は19日、国内の再生
産数が0.8と推定されるとした。コロナ禍が欧州で最初に深刻化したイタリアでは、政府の主要
な科学顧問の1人、フランコ・ロカテリ氏によると再生産数が約0.8となっている。