露からのパイプライン建設が中断 米で制裁盛り込んだ法律成立
2019年12月21日 17時34分

アメリカのトランプ大統領が署名した法律に、ロシアとドイツなどを結ぶパイプラインの
建設への制裁が盛り込まれ、建設を進めていた会社が作業の中断に追い込まれました。
関係がぎくしゃくするアメリカとヨーロッパ、それにロシアとの間で新たな火種に
なりそうです。

トランプ大統領が20日に署名して成立した国防権限法では、ロシアの天然ガスを
ドイツに送る「ノルドストリーム2」とトルコに送る「トルコストリーム」という
2つの海底パイプラインの建設への制裁が盛り込まれています。

具体的には、パイプラインの建設に用いられる船舶やその船の取り引きに関わった
外国人をアメリカ政府が特定して議会に報告するよう定め、
資産の凍結やビザの発給を禁じる制裁を科すとしています。

アメリカはこれらのパイプラインが、ヨーロッパ各国のロシアへの依存度を高め、
ロシアの影響力の増大につながると反対してきました。

アメリカの動きを受け、「ノルドストリーム2」の建設を請け負っているスイスに本社を
置く「オールシーズ」は21日、声明を出し、建設作業を中断したことを明らかにしました。

パイプラインの建設計画への影響は避けられないとみられ、今後、関係がぎくしゃくして
いるアメリカとヨーロッパ、トルコ、それにロシアとの間で新たな火種になりそうです。


ドイツ「われわれに対する干渉だ」

アメリカのトランプ大統領が署名した法律に、ロシアとドイツなどを結ぶパイプラインの
建設への制裁が盛り込まれたことについて、ドイツ政府の副報道官は21日、
「遺憾だ」とする声明を発表しました。

この中で「ドイツ政府はこのような制裁を認めない。ドイツやヨーロッパの企業に
打撃を与えるもので、われわれに対する干渉だ」として反発しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191221/k10012223931000.html