<日産>「無資格検査で900億円減益」残るツメ痕
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180218-00000011-mai-bus_all

2/18(日) 9:30配信
 日産自動車の2017年4〜12月期連結決算は、無資格検査の関連費用が膨らみ、減益決算だった。その影響度合いを分析する。【毎日新聞経済プレミア】
 日産は、昨年9月末に発覚した無資格検査の対応で、国内の完成車工場6工場で、国内向けの車の生産が10月から11月にかけて20日前後にわたって停止した。11月上旬から順次、
生産を再開したが、生産ラインの操業スピードが以前と同様に戻るのに2カ月近くかかった。
 また、「無資格検査をやめた」と公表した後も、無資格検査が続いていたことがわかったり、国土交通省の立ち入り検査に対して長年、隠蔽(いんぺい)行為をしていたことも明るみに出て、
日産ブランドのイメージが落ち、販売にも影響が出た。

 ◇利益率の高い輸出車両にも影響
 日産は昨年11月8日に発表した4〜9月期決算で、無資格検査の影響を約600億円と見込んでいた。無資格検査を受けて行った120万台のリコール(回収・無償修理)に約300億円、
工場での生産の遅れや販売減少などで約300億円という内訳だった。
 今回、生産遅れや販売減少による影響額をさらに300億円上積みし、総額で900億円になるという。その後、販売現場での影響はほぼなくなってきたが、生産の遅れによる影響、さらに
はテレビコマーシャルなど、マーケティング費用の増加も含まれている。
 会見した田川丈二・常務執行役員は、無資格検査の影響について、「追加で300億円かかってしまった。販売台数が3万〜4万台減るリスクがあると申し上げ、それからあまり変わってい
ないが、生産ラインの関係で、利益率が高い輸出車両にも生産減の影響が出てきてしまった。また、追加の販売費用がかかっているのも事実だ」と説明した。
 この結果、2017年4〜12月期の営業利益は前年同期より1390億円減少の3642億円になった。無資格検査の影響がなくても減益だが、減益要因のほぼ3分の2を占めている。

 ◇18年3月期は過去最高益を見込むが……
 18年3月期の業績予想は、売上高が11兆8000億円、最終(当期)利益が7050億円で、過去最高の最終利益を見込んでいる。ただ、これは米国の法人減税で2076億円の一時的押
し上げを受けたものだ。
 むしろ、米国や欧州で販売が当初計画を下回り、販売在庫を圧縮するための費用400億円を計上する。そうしたなかでの無資格検査の減益要因900億円は、決して小さなものではない。
 無資格検査の影響は18年3月期で収束すると説明しているが、来期まで繰り越すようなことがあれば、1000億円規模になる。ツメ痕は大きかったと言えそうだ。