2018年10月06日

― 連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―




久しぶりに『タモリ倶楽部』に出演したときのこと


 仕事で松山に出張した飛行機の中で、美人のフライトアテンダントさんから「タモリ倶楽部、毎回、楽しみにしています」と話しかけられました。

『不死身の特攻兵』でも、芝居のタイトルでもなく、『タモリ倶楽部』と言われて、お尻がこそばゆくなりました。

『タモリ倶楽部』のエロ担当とウィキペディアの鴻上尚史の項には書かれていますが、じつは、思われているほど出演していません。

 細かい事情を語れば、13年間司会を担当している『cool japan』と収録が同じ土曜日で、何度も出演依頼がかぶりました。

 タモリさんにとっての『タモリ倶楽部』が、僕にとっては『cool japan』なので、まさか、「ちょっと、タモリ倶楽部に出て来るので収録を休みます」なんて言えるはずもなく、何度も「おお! エロの特集じゃないか! 俺が出ないで誰が出るんだ!」と悶絶しました、が、無理なものは無理でした。

 今回、久しぶりに出演させてもらいましたが、テーマはエロではなく、「今夜解決!! クリーニング業界に『舎』が多い理由」というものでした。

 全国的には、これから放送される場所もあるので、「舎」が多い理由は書きませんが、(あっと言う間に解明されてしまうのですが)その後、時間がどーんと余り、しょうがないので「クリーニング屋あるある」に企画を変えたものがとても面白かったです。


 都内の個人経営のクリーニング屋さんが5人ほど集まっていろいろと教えてくれました。

 あるクリーニング屋さんは、「テレビドラマに出てくるクリーニング屋で働く人はみんな貧乏。クリーニング屋が貧乏人の記号になっている」と憤慨していました。

 思わず笑いました。

『ひとつ屋根の下』もそうでしたし、最近の映画『万引き家族』の安藤サクラさんも、クリーニング屋さんで働きました。なんでしょうねえ。あきらかに作家側のイメージの貧困でしょうかね。
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些細なことを面白がる知的な遊び心
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