月の地下に、長さ約50キロに及ぶ長大な空洞があることが、
日本の月探査機「かぐや」の観測データから判明した。
過去の火山活動で生じたとみられる。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が18日、発表した。

空洞があるのは、月の表側にある「マリウス丘」と呼ばれる領域。
かぐやが撮影した画像には、直径と深さがそれぞれ50メートルの縦穴が写っていた。

電波を使って得た周辺の地下構造のデータを詳しく調べたところ、
この縦穴から西に向かって、幅100メートルほどの空洞が約50キロにわたって続いていることがわかった。
内部は崩壊しておらず、地中の岩石などに氷や水が存在する可能性もあるという。

月では約10億年前まで大規模な火山活動があったと考えられている。
火山活動で溶岩が流れ出ると、表面は冷えて固まるが、内部は熱いまま流れ続ける。
その通り道が空洞として残ったとみられる。

将来、月の有人探査でこの空洞を基地に利用できれば、
宇宙放射線や厳しい温度環境の影響を和らげることができ、氷や水を燃料などに活用できる可能性がある。

JAXA宇宙科学研究所の春山純一助教は
「広がりが期待できる縦穴はほかにもある。将来的に基地を作るにも絶好の適地」と話している。

論文は米地球物理学連合の専門誌ジオフィジカル・リサーチ・レターズ(電子版)に掲載された。

写真:月の空洞のイメージ
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20171018001030_comm.jpg
写真:月の表面にある「マリウス丘」の縦穴。左側に空洞が広がる
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20171018000765_comm.jpg

以下ソース:朝日新聞 2017年10月18日11時10分
http://www.asahi.com/articles/ASKBK7GP0KBKUBQU01N.html