文部科学省の組織的天下り斡旋(あっせん)問題で、文科省は30日、新たに計35件の国家公務員法違反を確認したとする内部調査の最終報告書を公表した。

文科省職員が外務省や内閣府の退職者の天下りを斡旋した事案も含まれ、これまでの判明分と合わせて違法事案は62件に上った。歴代事務次官3人を停職相当、元人事課長を停職とするなど計37人を追加処分の対象とした。処分済みの前川喜平前事務次官らを含めると43人となり、同省での不祥事に伴う処分者数は過去最多となった。松野博一文科相は記者会見で「類を見ない大量処分は極めて遺憾。問題の背景には根深いものがあり、身内意識が影響した」と陳謝し、今後再発防止策を検討する方針を示した。

 最終報告書によると、違法事案の内訳は、内閣府の再就職等監視委員会が1月に指摘し、文科省が2月の中間報告で違反と認定した27件と、今回認定した35件。この中には、中間報告での判断を見直した8件も含まれる。

 天下り斡旋システムについては、現職による斡旋を規制した改正国家公務員法の施行(平成20年末)を契機に導入されたとし、職員OBによる斡旋に違法性はないとの認識のもと、人事課OBの嶋貫和男氏を中心に人事課職員も主体的に関与したと指摘した。

 「引き継ぎメモ」や事務次官を含む省内での意見調整もあったことから、斡旋システムは組織的な関与の中で運用されたと認定。ただ、誰が構築を指示したかは解明できなかった。

 外務省と内閣府の退職者への斡旋については、いずれも当時の藤江陽子人事課長=大臣官房付=らが大学に紹介したと指摘。藤江氏はこれらを含め計11件の違法事案に関与したとし、現職では最も重い停職3カ月の懲戒処分を受けた。

産経新聞 3/31(金) 7:55配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170331-00000073-san-soci