大手住宅メーカー、
毎月分譲ならびに3棟新築のノルマ、達成できても月が変わったらまたイチから出直し、
夜討ち朝駆け、成績が上がらなきゃ土日はおろか盆も休み返上、1ヶ月に1日も休めなかった時も。
毎朝7時半から夜23時前後まで、時には図面や見積書作成に午前2時3時まで仕事をしていました。

昼間、倒れそうになり公園で休もうか思ったけどGPS機能のついた携帯電話を
会社から支給されるため、ショッピングセンターの駐車場や
公園の駐車場で昼寝をしていてもいずれ発覚してしまいます。
営業課長や支社長のみならず、契約をバンバン挙げている先輩営業マンからも、
連日連夜、鬼の形相で詰められます。成績が上がらなきゃ朝礼で
皆の前で机の上に正座させられ、「反省文」と「皆様へのお詫びの気持ち」を朗読させられます。
とにかく疲れていても、布団に入ると次の日が来ることの恐怖感でなかなか寝付けられません。

夜が明けることがこんなに重苦しいものか、ということを産まれて初めて体験しました。
営業交通費は成果が上がらなきゃ全てガソリン代が自腹です。
数字を上げようと思えば、良い反響を回してもらうため上司や紹介客の接待、誕生日のお祝い等、
すべて自腹です。
やっとの思いで契約に至り、住宅ローン融資が付き、着工に至るまで大体4〜6ヵ月かかるため、
契約後は着工するまで先払いとして1棟当たり約2万円が毎月分割支給されます。
融資が付いて着工した時点で、100万円から2万円×4〜6ヵ月分を差し引いた88〜92万円が入り、
棟上げで残りの3割、完成で残りの2割がもらえるという流れです。

ここで問題になるのが「融資不調」。むろんのこと、契約前に銀行に融資の打診はしておきますが、
銀行が本腰を入れて審査するのは当然ながら契約後です。
そこで不調になってしまうケースがあります。
例えば、施主さんの親御さんが連帯保証人になるケースが多いんですが、親御さんへの説明が不足し、
契約後に親御さんに建築を反対されて白紙撤回になってしまうことがある。となれば融資不調となり、
営業マンに先払いで支給された月2万円×4〜6ヵ月分を一括で返還しなければなりません。
契約したから終わりではなく、完成に至るまでこうしたハードルがいくつも待ち構えています。
融資不調になった人は個室に呼び出され、『どうするんだ!』と支社長や課長から
ものすごく詰められます。せっかく契約を計上したのに、融資不調で保留になると
支店の数字がマイナスになり、目標達成が遠のいてしまいますからね。
『その責任をどうやってとるのか』と詰められれば、
次の新しい契約を無理してでも取るしかありません。
住宅メーカーの営業マンは3ヵ月間にわたり1棟も売れなければ“長期無実績者”の烙印を押され、
6ヵ月無実績なら6万円、12ヵ月無実績なら12万円給料が減額されます。
そのため12ヵ月無実績者は手取りが5万円になることもあり生活できまさせん。
さらに上からの風当たりもきつくなり、朝礼で営業から設計さん、事務社員まで
100名以上いる眼前で机の上で正座での「反省文」と「皆様へのお詫びの気持ち」朗読を避けるため
フタを開けてみないとわからないような厳しい条件の案件でも、
無理に契約を取ってしまう営業マンもいます。

とてもじゃないが貯蓄なんかにゃオカネ回せません。

介護士さんで「過労のため自殺」とか「顧客の融資不調を補填できずに蒸発」とか有りますか?