>>65 前回の続き   磯野家、ぼんやりとした不安の巻

タラオの頭突きが顔面に入り鼻を押さえ痛がり泣きそうになりながら
恨めしそうな顔でタラオを見上げる波平
そのなんとも情けなくみっともない姿を家族全員に目撃されてしまった波平
家族にだけは絶対に知られたくなかったこの波平の別の一面を
知られ大恥をかかされてしまったことがよほど悔しかったのだろう
とうとう波平は意を決しタラオを訴えてしまったのだ

この情緒不安定の幼児期の孫をその祖父が訴えたという前代未聞の訴訟は
全米中で話題になり連日マスメディアを賑わせることとなった
頭突きをかます前にタラオが発したボンバー・ヘッドという言葉から
この訴訟名を「ボンバー・ヘッド訴訟」と名付けた

箝口令が敷かれた磯野家では家族全員が固く口を閉ざしていたが
カツオひとりだけマスコミのインタビューに快く応じ
あることないこと、したり顔で面白おかしく語ってみせていた
カツオに箝口令など無駄なことだと家族一同が諦めていたからだ

今まさに磯野家は危機的状況下にある
しかし磯野家でこの状況を静観し冷静に分析し
平和的解決を模索する唯一の存在があった
そう、タマだ!
磯野家で一番血の気が少なく家族でもあり部外者的な存在だ

このままだと磯野家はバラバラ
下手したら一家離散の憂き目を見る可能性だって無きにしもあらず
タマ、この難関をどう乗り越えようとお考えか?
この危機的状況を打破できるのはタマお前だけなのだから
頼むぞタマ!負けるなタマ!・・・なっ!