「桜を見る会」前夜祭を巡る新疑惑を「しんぶん赤旗日曜版」(29日付)がスッパ抜いた。記事によると、安倍元首相の秘書たちは会費(1人5000円)を上回る費用を補填すれば公選法が禁じる有権者への寄付行為にあたると認識し、補填額を抑えるため、大量の酒を会場に持ち込んでいた。しかも、補填ゴマカシに振る舞われた酒は1社からの無償提供で、安倍氏の“お友だち”人脈にたどり着く。

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「公職選挙法に違反する恐れがあることは分かっていた。そのため、私は(中略)前夜祭の会場にお酒を持ち込んだ」

 会場となった都内の高級ホテルとの契約交渉を担当した東京の安倍事務所秘書の供述内容だ。

 前夜祭の費用を補填したとして、主催した「安倍晋三後援会」の代表だった元公設第1秘書は政治資金規正法違反(不記載)の罪で罰金100万円の略式命令。公選法違反容疑について東京地検は「参加者に寄付を受けた認識がなかった」として不起訴処分とした。

 赤旗編集部は刑事訴訟法に基づき東京地検に事件記録の閲覧を請求。開示資料から、2017~19年の前夜祭で安倍事務所側が会場に持ち込んだ酒の種類や本数を詳細に報じている。

 問題は酒の出どころだ。会場のホテル職員は「宴会ファイル」を作成。19年分には酒の本数とともに「様より前日持ち込み」とあり、電話番号が記されていたという。電話すると「サントリー秘書部です」──。

 サントリーホールディングス(HD)広報部は赤旗の取材に「会の開催については、安倍議員事務所から教えていただいた。多くの方が集まる会だとお聞きし、弊社製品を知っていただく良い機会と考え、この会に協賛させていただいた」と回答。酒は「無償」で提供し、各年の酒の金額は「15万円程度」という。

無償提供は違法寄付

「現金以外の物品、つまり酒の供与や交付も政治資金規正法の『寄付』にあたり、収支報告書への記載義務がある。また、企業が寄付できるのは支部を含めた政党か政治資金団体に限られ、『安倍晋三後援会』は該当しません。企業からの酒の無償提供は贈る側も受けた側も規正法違反にあたるためか
安倍事務所は報告書に記載していません。違法に違法を重ねた事務所の管理責任について、改めて安倍氏は自身の口から説明すべきです」(政治資金問題に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏)