放置駐車違反と青空駐車違反について
放置駐車違反及び青空駐車について
（交通政策スレに交通違反について、暴走族取締りについてを、違反の潰し方スレに現場指導票について、信号、一停無視についてを立ててます）
放置駐車違反
かつてこの違反の１１０番通報がその日１日の半分を占めたこともあるくらい住民の方にとっても警察官にとっても日常的に発生する交通違反だった。
不適切な発言かもしれず申し訳ないが、警察官の目から見て駐車違反の取り締まりに時間を取られパトロールなどの防犯活動ができない交番も多かった。
したがってこれほど地域（交番）警察官にとって厄介な交通違反はなかったのである。
私のいた警察では、交通課は速度違反取締りで手いっぱいであり、駐車違反取締りは主に交番の地域警察官が担当した。
またいつものごとく、取締りについても重大な欠陥があった。
駐車違反取締りでは、車を運転し、法定にせよ指定にせよ
駐車禁止場所に駐車した運転手に対し切符を作成し取り締まる
のであるが、
車を駐車した運転手と車を発進しようとした運転手が一致しない事案
が多発した。
例として
警察官が駐車違反として監視していた車に人が乗り込み発進させようとしたので、取り締まるべく声をかけた。
すると
確かに私は今、車に乗って出発しようとしましたよ
しかし車を駐車したのは私ではないですよ
○×という人で近くのゲーセンで知り合ったトモダチです
○×という名前しか知らない、苗字は知らないなあ
車を駐車したのは私ではないのだから、○×を取り締まってくれ
なんてことを言われる。
警察官が
じゃあ、その○×君を連れてきなさい
と言っても、
俺はお前ら警察が大嫌いなんだ、誰が協力するか！
お前らで捜査して勝手に○×を見つけて取り締まればいいだろう
いい加減に解放してくれないか、仕事中なんだ、損害が出たら訴えるぞ！
という流れになるともう大変である。
おそらくこいつが駐車してたんだろうなと容易に想像はつくのであるが証拠はない。
警察官は誰も乗っていない駐車している車を見て取り締まっているのである。
捜査するにも時間はかかる、○×が本当にいるわけもなく、かといって発進しようと車に乗ったこの人を捕まえるわけにもいかず指をくわえて見ているしかないのである。
私が新人の頃は怖いベテランの巡査部長さんや巡査長さんが
オイ！コラ！ふざけんなよお前！警察をなめてんのか！
とまあ、俗にいうオイコラ警察官の流れで長時間違反者を説教して、相手が根負けするのを待つ方法もあったが、現代の権利至上主義社会ではそうはいかない。
へたに暴言を吐こうものなら二言目には
訴えるぞコラ！
と逆に言われてしまうのである。
これは法形態に欠陥があり、それを現場の警察官の能力で補わなければいけないという実態があるからなのである。
今はちょっと乱暴な例を出してしまったが、実際はもっとソフトにやさしく長時間粘り強く説得し相手が納得する場合もあるが、年々うまくいかなくなっていった。
そして、上司には
そんな奴を相手にする暇あったらさっさと注意なり現場指導票にしてさっさと行かせてしまえ
その間に何件できると思ってんのよ、頭を使え！
と言われてしまうのである。
逆のパターンもまた危険である。
今の例には続きがある。
後日、別の一般人から通報があり
あそこの駐車禁止場所には何台も車が常時駐車しているが特に○時から△時くらいまでいつも赤色の■という車はいつも駐車違反して悪質だ！
○月×日に駐車違反を取り締まっていた警察官とその車の運転手が話していたが、取締りしないでそのまま行かせた
警察はなぜ取り締まらない、賄賂でも貰っているのか！
という内容で、そういうことはしっかりと内部調査されて誰が対応したか判明し、警察官はその時の取り締まり内容を報告したが、上司からは
お前の取り締まりのやり方が悪いから苦情が来た
と罵られ、交通課の応援を得てレッカー車を違反場所のそばに前もって待機させ、違反者（○×が駐車して俺は何も知らないと言った人）が車を駐車していなくなったのを見計らって、即レッカーし、他の車はパトカーの拡声器で広報し散らしたという結末である。
また、警察官が放置駐車違反取締り時に運転手が車に戻ってこないことがある。
警察官は他にも仕事があり何時間もその場にいることができないので、その時は
交番への出頭指示書
というのを書いてワイパーに挟んだり、フロントガラスの運転手が見える位置に貼ったり するのだが、この出頭指示書は
法的な根拠もなければ強制権もない全く使えない紙
であった。
紙を見て出頭してくる真面目な方もいれば（切符処理する）、出頭してこない方もいて、その場合は車両を照会して車の使用者を割出し、電話の１０４や使用者の居住先管轄交番に巡回連絡時に入手した
巡回連絡カードの簿冊照会
を実施して、その人の情報（生年月日など）電話番号を把握し、その家に電話を掛ける。
（車の状況などを見て場合によっては、名前と生年月日から照会センターに犯歴照会もする。）
しかし先ほど言ったとおり強制権は何もないので
手続きを取らなければならないので交番に来てください
程度のことしか言えない。
もちろん、口八丁でいろんなことを言うのであるが、違反者の違反への対応に対する情報の共有化と、権利至上主義社会の弊害であろうか（警察官にとって）
私はそんなところに車を止めていません！
とか
私はそんなところ（駐車違反場所）に行ってません！
とか
何のことか知らないなあ、電話じゃあなたが警察官かわからないし出頭なんかしないよ、電話の末尾が０１１０だから警察だぁ？あっそｗ
そんなに取締りしたいのなら証拠を持って家に来い
などなど、言われるともうそこで詰まるのである。
結果いつものとおり
時間がかかるし、この一件をやっている間に他の取り締まりができる
何の権限もなく事実上捜査は不可能
なので、この場合は
運転手の申し立てに迎合して、その申し立てを認め
追跡捜査するが再度連絡が行くかどうかはわからない、連絡が来ない場合はあなたへの疑いが晴れている状態なので警察に問い合わせしないように、との説明をソフトに行い終了するのである。
もちろん追跡調査はしないし、一月くらいしたら出頭指示書もシュレッダーで廃棄する。
このように放置駐車違反は、法形態的にも取締り的にも欠陥があり、にもかかわらず社会的な取締りのニーズの高い違反で、通報の増加もあり取締りが限界に達していた。
それが良い意味で一変する。
民間の駐車監視員による駐車違反取締り制度
放置違反金制度
である。
この制度は警察官にとって画期的なものであった。
頭でっかちで現場も知らない警察庁に何ができると思っていたが、それが誤っていたことに気づかされた数少ない例であった。
この制度は細かく書くと書ききれないので、ざっくりと書かせてもらうが
画期的な点について
運転手が判明しない場合
は
車検証の使用者
つまり、
車の持ち主に責任を負わせ、放置違反金を払わせれる
ところが一番のポイントである。
これにより、さっきのような駐車違反をした人物が判明しなかったり、呼び出しをしたときに否認されたり出頭を拒否されても、一定の責任を車の使用者に負わせることができるようになり
逃げ得
をさせないことができるようになった。
また、点数処理されないという点も特筆すべきである。
実際あってはならないことだが、例として
指定場所放置駐車違反
であれば
点数２点
反則金１５０００円
のところ、運転手が判明しない場合は
放置違反金 １５０００円
のみであるので、
実際違反をしても出頭せず
後日、
放置違反金を払って終了
そして
警察も切符を切らなくてよい
ので切符を切っているときに違反者から罵倒されたりすることもなく、ストレスをためず別の事案に取り組めるのである。
したがって現場警察官としては、誠に申し訳ない言いようであるが
まじめに違反を認めて出頭される方が迷惑
であり
当然、運転手が出頭せず切符処理できなくても、運転手を見つけるため呼び出しの電話を入れたり捜査する必要もない
というより
捜査しなくてよい
のである。
（必要があれば交番ではなく警察本部に設置されている駐車対策センターが捜査する）
心情的にも、
全く逃げ得だった昔よりマシなので満足
という状態であろうか。
実際に地域警察官の負担の何割かが（私個人的には３割）軽減され、他の仕事に集中できるようになったのは間違いない。
警察組織内における放置駐車違反の評価の仕方も変わった。
駐車違反取締りの成績評価基準が
切符を切った件数
から
標章を貼った件数
となった。
今はどうかわからないが、私が現職だったころ
民間の監視員は車輪付きのメジャー（名称忘れ）で正確に違反車両の位置を測定し、デジタルカメラで違反車両及び違反状況の写真を撮影、
専用の機械から標章を出して印字し違反車両に貼りつけ、早くても一台につき５分くらいかかるのであるが
警察官は、建前は別として現場では
デジタルカメラなどで証拠収集をする必要もなく
これまでの駐車違反取締りのように目視で計測し
手書きで標章を書き上げて違反車両に貼ることができる
貼ったらトンズラ・・・ではなく、現場から離れれる
（標章一枚につき書く作業で約１分）
ので、
違反者が車に乗るのを監視したり、切符を切る必要
がなく
切符を切っていたころより楽で簡単
になり、それまでベテランの年長警察官が新人警察官に取締りをやらせて自分は交番でお茶を飲み、
新人が取り締まった件数を
交番全体の件数として吸い上げ自分の成績にしていたものが、自ら率先して現場に赴き、
手書きで一気に書いた標章を何十枚も貼ってすぐ退散、交番全体の件数とせず自分の件数として計上し、警察署で
俺は何十枚も標章貼って何十件の駐車違反を検挙したぞ
と威張り散らしている姿をよく見かけたもので、更には
隣の交番管内で標章を貼りまくる
（標章を貼られた車の運転手がその管内の交番に問い合わせの電話を掛けたり出頭する、貼った人は違う交番なので対応しなくて済む）
人もいた。
まさに笑い話である。
しかし、放置違反金制度の網の届かない違反もある
青空駐車違反
である。
青空駐車違反は正式名称ではない。正式には
自動車の保管場所の確保等に関する法律
（以後、青空駐車違反で表現）
といい、通常の駐車違反とは異なる。
簡単に言ってしまうと
駐車違反場所の道路でなくても長時間駐車したら取り締まるよ〜
というもので、長時間とは
夜間８時間以上、昼夜通して１２時間以上
駐車した場合に取り締まられる。
また、交通反則切符、つまり青切符の放置駐車違反などとは違い
交通切符（赤切符）
で処理される。
交通切符扱いなので
交通反則通告制度
は適用されない。
つまり、青切符のように違反金を納付して終わりというわけにはいかず、
簡易裁判所へ出頭して罰金を払う扱い
となり、
前科
がつくのである。
さらに青空駐車違反には
放置違反金制度が適用されない
ので、取締りの方法についてはあえて書かないが、上記８時間なり１２時間以上駐車したのを確認したのち、運転手が車両に乗り込んで発進するところを職務質問して、青空駐車違反ということで検挙するのである。
さて・・・皆さんはお気づきであろうか・・・
放置違反金制度（民間の駐車監視員による駐車違反取締り制度）が適用されないということは、それ以前のやり方で取締りをせざるおえず、最初の方で書いたとおり
確かに私は今車に乗って出発しようとしましたよ
しかし車を駐車したのは私ではないですよ
○×という人で近くのゲーセンで知り合ったトモダチです
○×という名前しか知らない、苗字は知らないなあ
車を駐車したのは私ではないのだから、○×を取り締まってくれ
と言われるとお手上げなのである。
そこは、警察官の話術で口八丁手八丁で何とか取締りをするのだが、否認を続けられると
警察官がその者が間違いなく青空駐車したと証明しなければならない
ので相当苦しいのである、というより取締りは無理なのである。
近くの防犯カメラの検証？
聞き込みして目撃者の確保？
皆さんわかりますよね＾＾；
そんなことをやってる間に、別の青空駐車違反を何件も取り締まれる
仮に裁判になったとして（裁判にはしないがｗ）負ける確率の高い取締りはしない、注意か現場指導票
もちろんトラブルを起こした日には上司に罵倒される、評価は下がるで散々
なのである。
また、運転手が現れない場合も同じく
出頭指示書
をワイパーに挟んだりフロントガラスの運転手の見える位置に貼るのであるが、
法的な根拠もなければ強制権もない全く使えない紙
であるので、このあたりはコピーさせてもらうが、紙を見て出頭してくる真面目な方もい
れば（切符処理する）、出頭してこない方もいて、その場合は車両を照会して車の使用者を
割出し、電話の１０４や使用者の居住先管轄交番に巡回連絡時に入手した
巡回連絡カードの簿冊照会
を実施して、その人の情報（生年月日など）電話番号を把握し、その家に電話を掛ける。
（場合によっては、名前と生年月日から照会センターに犯歴照会もする。）
しかし先ほど言ったとおり強制権は何もないので
手続きを取らなければならないので交番に来てください
程度のことしか言えない。
出頭を拒否し続けられたりすると、もともと貧弱な状態で取締りをしているので強制捜
査というわけにもいかず、ここでも
時間かかるし面倒だからいいわ！放っておけ！
となるのである。
もちろん関係書類は数か月後にシュレッダーである。
そして致命的な事態に陥るときもある。
これも例として
現場や出頭してきて違反を認めているので、赤切符を切って処理
した。
検察庁に送致してからしばらくたって
実はあの青空駐車違反の違反者は私でなくて、本当は彼氏（彼女）なんですけど、別れてムカツクので本当のこと言いに来ました〜
みたいな
身代わり出頭
の場合である。
罰金を払い済みであったり、昔のオイコラ警察が通用しているころは
てめえ！自分の言っていることがわかっているのか！
自分で犯罪しましたって言ってるようなもんだぞ！
ふざけたこと言ってんじゃねえ！
と罵倒して取り合わないのが普通であるが、罰金を払ってない出頭前の場合は検事の前で
警察に相談したのに取り合ってもらえなかった、私は無実です！
と言われると、もう監察事案確定、処分はされる、捜査のやり直しで時間はかかるの踏ん
だり蹴ったりなので、切符を切る際には
身代わり出頭だったらどんなことになるかキメを入れておく
のが大切である。
そして、青空駐車違反取締りは
運用的に期間限定の取締りである
ことも見逃せない。
年がら年中、
青空違反＝赤切符で処理をしていては量が膨大
であり、
警察官の数が足りるはずもない（もちろん検事や裁判官の数も足りるのか疑問）
ので
年に一回（私がいた警察では２月）青空駐車取り締まり月間
というのを設けて取締りをする。
１月２月以外の月は、先ほど書いた車のナンバーから運転手を割出し、各種照会や巡回
連絡カードを活用して連絡し、車両を移動させ、そこの場所は苦情が入る場所だから駐車
しないように
厳しく指導！
するのである。
（駐車違反関係のご近所トラブルはやっかいである）
しかし２月だけは青空駐車取り締まり月間なので、１月入ったあたりからは連絡したと
きに
軽く注意だけして放置
する。
そして２月になっても駐車しているようだったら
注意したのに駐車したらダメじゃない〜
とニコニコしながら取り締まるのである。
冬季は雪が降ったり、雨でも凍結する場合があるので速度超過取締りがやりづらく、取
締り件数が上がらない。
交通警察にとって
青空駐車違反取締り月間は冬季期間の最大イベント
であり、警察本部からの評価も高いのである。
今は改善されこのような事態でないことを祈るばかりだが、そうはなっていないであろう。
毎回同じことを書いてしまうが、現場の警察官が悪いというわけではない。
法形態に欠陥があり長年放置されてきたのである。
そういう状態の中で現場警察官はできる範囲で、できるだけのことをベストを尽くして頑張っているのである。
交通関係法令の早急な見直しを求めるものである。
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