娘がいる男性は、娘がいない男性に比べると性差別意識が低くなる、との研究結果を英ロンドン大学経済政治学院(LSE)が発表した。

娘がいる男性は、そうではない男性よりも、男性は仕事に行き、女性は家庭で育児に専念するべき、といった伝統的なジェンダーロール(性別によって社会から期待される役割や行動様式)にこだわる傾向がかなり低い。
「マイティーガール(パワフルな女の子)効果(Mighty Girl Effect)」と呼ばれるこうした傾向は、娘の成長につれて強まることも分かった。研究の結果、小学生の娘がいる父親は、
一家の大黒柱は男性であるべきだと考える割合が、同年代の娘を持たない男性に比べて8%少なく、娘が中学生になると、その割合は11%に拡大した。
英オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)発行の「オックスフォード・エコノミック・ペーパーズ(Oxford Economic Papers)」に掲載された論文は、女児のいる男性は子育てを通して、
少女や成人女性たちが社会で被るさまざまな不利益を理解するようになり、その結果、自分自身の考え方もかなり変わってくるのではないかと指摘している。

LSEの社会政策学部と社会的排除分析センター(CASE)に在籍している博士課程の学生、ジュリア・フィリップ(Julia Philipp)氏は、「ジェンダーロールに対する固定観念は、
職場の内外で男女同権を実現する上で障壁となり得る。そのため、こうした固定観念が時間と共に変化し得ることを示した私たちの研究結果は、大いに希望を持てる内容だ」と述べている。
研究チームは、不利益を間接的に見聞きしただけでも、人の考えは変化し得ると結論付けている。

■娘を持つ父親がすべき五つの基本
・女性に敬意を払い、男女平等を尊重する姿勢を、身をもって示す。
・家事は女性の仕事だと頭から決めつけない。(そして、公平に分担する)
・娘だけではなく、息子にも、「性的同意(性的な行為において互いの意思を確認すること)」について教えておく。
・女子は算数が苦手、科学には不向きだというステレオタイプな概念をうのみにしない。
・自分の娘が性差別やハラスメントを受ける可能性があることを念頭に置き、もしそのような目に遭っても、自分に落ち度はないと教える。