――最終章
敗北者の行方、居場所のない老いぼれの行先


「勝った……」
総てをかけた戦いは、積み重ねたものの差で勝利を収めたゆゆうた。
彼は喜びと疲労で混乱しながら、その大狂乱の幕を閉じ、白から黒へ塗り替えられた城は、また純白へと塗り替えられた。
唯一の取り柄、最大の城壁であった同時接続、で敗北、コレコレにより同時接続の価値は最初からなかったと証明され、二度と再建不能の瓦礫の山が積み重なった。
最後の抵抗として、自身の最大の取り柄である11.9万人を阻止しようと奮戦した。
結果は惨敗である。
結果、何十万もの人間が加藤に敵意を向け、恥ずべき行為に嫌悪を覚えたもっさんも寝返り攻撃を始める始末である。
築かれた城は炎上し、やがて崩れ、見るかげは消え、配下のもこうや高田健志も独り立ちし始めた。
残されたのは何も持ち物を持たない、ただ1人の人間であった。
彼は何が行けなかったのか、問いかける声は野原に響き、散乱する、声すらも帰ってこない。
終わりを告げる、鐘が鳴る。
加藤純一は胸に刺さる短剣と共に、息を引き取った。

遺ったのは、ゆゆうたの人気と、加藤の痴態の記録だけであった。

――最終章――