ある日、すずが消えた


その日はバイトが臨時でなくなり、友達と遊びに行っていた
夜10時ごろ家に帰って予定表を確認すると俺の勘違いてあったことに気付く
しまったと思いバイト先の店長に電話しようとするが、
すでに時は遅く店長がちょうど帰る時間を過ぎていた
しまったと思い呆然としていた矢先、すずが消えた

そういえば今日の朝、妙な雰囲気だったのに気付いた
昨日遊んでいたポケモンのセーブしてある場所が前回と異なっていたのだ
後ろにすずの気配がする
「私の買ったポケモン無断で使ったんだから、無断で進めといたから」
その言葉の響きは普段と違い、冷たく失意の圧を放っている
そしてこう続ける
「そんな身勝手なことするんだったら私はもう必要ないよね?」
そして簡単に荷物をまとめて彼女は玄関から出て行ってしまった

次の日の夜、戻ってきたのは鮭のしっぽだった
すずは自分の体を切り分け、バイオテクノロジーで二人の子供を培養したというのだ
3歳の女の子と5歳の男の子
余ったしっぽの部分は人間を作るのに必要なかったので
その部分だけですずの精神を残したまま戻ってきたのだ

彼女は俺たちが寝静まった後、その鋭利な尻尾を使い
俺らをすべて殺害することを企てているようだ
俺は必至にその尻尾をつかみ押さえつけた
しっぽの部分だけになったがそれは生々しく、鱗で覆われた皮の中に確かに脈打つ内臓があった
それがすずの命を繋ぐ中核
暴れる尻尾を抱えながら、何とか子供たちの歯を磨かせ寝かしつける
すずの尻尾はますます動きが激しくなり地面に押さえつけて動きを封じるのがやっとになってきた
暴れれば暴れるほど少しづつ皮が剥がれ、二枚の開きのようになっていく
中から少しずづ脈打つ内臓がこぼれ落ち、その命の鼓動を失っていくようだった
俺はとてつもない絶望と喪失感を感じていた
大切なすずの命が尽きるのだ

(場面は飛ぶ)

男は暗号を解くのに奮闘していた
それが解ければすずが復活するのだ

失意の底にあった俺は男から紙を奪い取り、最後の解読のヒントであるその紙を燃やした
しかし男は気にすることもなく紙が燃えるのを見ていた
モニターの中ではかつてのすずが話している
すると奇跡が起こった
燃え上がる炎の中でその灰が舞い上がり
再びすずの姿を形作ったのだ
そしていつも通りの声で話しかけてくる
「おはようございます!」

という夢を見ました