「こんちぇりー!。七條ちえりだよ!。」
視聴者数145人の前で配信開始でのお決まりの挨拶をこなした。
数年前のVチューバーブームの煽りを受け、数万人以上の視聴者を集めるアイドル部のメンバーだったと言うかつての栄光はもはや見る影もなかった。
「今日はね、凸待ち雑談だよ。みんなちえりに質問してね。��」
2020年、演者の暴走により収益の確保が見込めなくなったVチューバー事業をアップランド社は手放した。
アイドル部のメンバーとは疎遠になりながらも、ちえりはこうして細々配信を続けていた。
「さっそく来た。もしもし。」
『お前アイドル部だった奴だろ?いつまでこんな配信続けるの?』
「こんな配信...。」
『玉だっけ?仲間にいきなり後ろから刺された雑魚は。仲間を信じてたのに可哀想に...』
「違う!!ちえりはめめめのライブの為に必死で…アイドル部を…守りたくて…」
『そのアイドル部をお前がぶっ壊したんだよ!!』
(ブチッ)
「ハァー!ハァー!…だめだだめだ…」
耐えかねた彼女は、パソコンの電源を勢いよく引き抜いた。
「うう…うう…みんなどこに行っちゃったんだよぉ。みんなぁ…うわああああああああああああん!!��」
泣いてもあの頃には戻れないのは自分が一番わかっているが、彼女に涙は止められなかった。