◆人に喜んでもらうサービス業であるという認識が非常に大事◆

──動画の投稿以外に弾き語りのニコ生もやってらっしゃいますが、
今の弾き語りやMCなどのスタイルは、どのように確立されたのでしょうか?

オーイシ:
 デビュー当時は、スリーピースバンドをやってたんですけど、どちらかというと
「俺が良い音楽を作ってたら、皆勝手に付いて来るだろう」と、
よくありがちな自分の発するものに対する絶対的な自信みたいなものがあったんです。

 言っちゃえば、サービス精神の「サ」の字も無かったんですけど、ドンドン時代が巡って変わっていって、
ニコニコみたいなコンテンツとかも沢山台頭してきて、プロだからとか、運よくデビュー出来たからといって、
もう胡坐かいていられない時代だと思うんですよ。
素人さんも含めて、みんな同じステージ、同じスタートラインに立って、
いくらでも自分を出せる媒体や、ソースがドンドン増えてきたので。

 周りを見てても、その時代の天才と呼ばれる人たちがドンドン田舎に帰っちゃったりとか、音楽を諦めちゃったりとか……。
でも、どうしても僕はまだ音楽でご飯を食べていきたいなーと思った時に、
やっぱりその人に喜んでもらうという、いわゆるサービス業であるという認識が非常に大事だなと思い始めて……。

 こういう「どうも、アニソン界のおしゃべりクソ眼鏡ですー」みたいなことを言い始めたんです。

──(笑)最初に、これじゃマズイって思われたのっていつぐらいでした?

オーイシ:
 意外と遅くて、2012年とか13年とか、もうホントに4、5年位前ですね。
アニメコンテンツに携わらせて頂いたっていうのが、一番大きかったかもしれないですね。

 幅が広がって、要は「音楽を聞いてくれるスタイルにも色んな形があるんだな」って思ったのが、きっかけだったんですよね。
音楽ファンに向けてだけ、楽曲や自分の音楽を落としこもうとしてたんですけど、でもアニメファンの皆さんも、
こんなに凄く自分の音楽を必要としてくれるんだなとか、そういうことに気づき始めてから、
「あっ!これって、音楽を作ることって、つまりはサービス業なんだな」と、
ようやく大人になれた。そんな感じでしたね。