● 株式投資のクイズにチャレンジ

 H社の3ヵ月のチャートです。

 売り、買い、様子見、どうする?

 今回はチャートだけでなく、以下の4点も考慮してください。

 (1)H社の予想配当利回りは6.25%

 H社が発表している1株当たりの年間配当金は50円。「配当利回り=(1株当たり配当金)÷(株価)」なので、3ヵ月前、株価1000円の時、予想配当利回りは5%でした(50÷1000=5%)。

 株価が800円まで下がった今は6.25%(50÷800=6.25%)。1株当たりの配当金が変わらなければ、株価が下がると配当利回りは上がります。

 (2)財務内容は良好

 (3)過去10年、安定配当(減配も増配もない)

 (4)H社の株価下落は日経平均下落に連動したもの

 株価が1000円から800円に急落したのは、日経平均急落の影響です。H社固有の悪材料は無いと考えられます。
● チャートだけから判断すれば「様子見」が無難

 H社は1000円から800円まで株価が急落した時に発生した「下落モメンタム」がまだ完全には消えていません。25日移動平均線が下向きで、株価が25日移動平均線より下にあるからです。

 投資するのは、25日移動平均線が上向きになり、株価が25日移動平均線より上に出るまで待ったほうが良いと思います。

 それでは、チャートだけ見てここで「売り」と判断できるでしょうか?

 できません。株価は過去1ヵ月半、800─850円の範囲でボックス相場となっていて、25日移動平均線が下向きから横ばいに変わりつつあるからです。

 「下落モメンタム」が少しずつ弱まりつつあるところです。ここからもう一度、下値をトライにいくか、このまま底値圏でのボックス相場となるか、チャートだけでは判断できません。

● 予想配当利回り6.25%の高配当利回り株として「買い」

 本書は「チャートで稼ぐためのトレーニング本」です。ただし現実には、私たちはチャート以外の要素も見ながら判断します。

 財務内容が良好、過去10年減配したことがない安定配当株であることを考慮すると、短期的な下値リスクが残っていても、長期投資で買っていって良いと判断します。