損害の発生
財産的損害と精神的損害がある。

財産的損害は、積極的損害(直接の被害額)と消極的損害(不法行為がなければ得られたはずの利益=逸失利益)がある。
損害の内容については学説上対立がある。差額説は、不法行為によって減少した価値を金銭評価したものが損害の実質であるとする。
損害事実説は、ある損害それ自体の内容を金銭評価したものが損害の実質であるとする。

精神的損害は、被害者の精神的苦痛である。



損害賠償の請求主体
財産的損害であれ、精神的損害であれ、第一義的な請求主体は被害者自身である。
被害者が死亡した場合は、慰謝料請求権は当然に相続されると解されている。

生命侵害の場合、被害者の父母・配偶者・子は固有の慰謝料請求権を有する(711条)。

胎児も請求主体になる。
胎児は、損害賠償請求権については「既に生まれたもの」とみなされる(721条)。
これにより、たとえば父が不法行為により死亡した場合、死の時点で母胎にいた胎児は、
出生後、損害賠償請求権を獲得する。
権利能力の始期を定めた3条の例外を定めたものである。