【産経抄】7月30日

▼国連平和維持活動をめぐる日報の隠蔽(いんぺい)問題で稲田朋美氏が防衛相を辞任した。
北東アジアの危機を前に国防強化の政策を構想し実現する。
そんな姿を氏に見ることはついになかった。退場は遅すぎた観もある。

 ▼自衛隊の政治的中立をわきまえぬ選挙での応援演説といい、「森友問題」で記憶に基づく発言を撤回した不手際といい、
世論の鳴らす警笛に目を覚ます機会はいくらでもあったろう。
「将来の首相候補」と安倍晋三首相に目をかけられた人なら、なおのことである。

 ▼稲田氏をかばい続けた首相のとがも一通りではない。
政権への低調な支持率で、国民は何度も「姿勢を正せ」と警告している。
人々が寝静まる頃を襲った28日深夜の北朝鮮による「ミサイル発射」のニュースは、夜の安息さえも約束されないことを示唆していよう。