極右的政党の盛衰と上からの準極右的体制変革――混成型ネオ日本
ファシズム?
2 大政党に失望した人々は、第 3 極に期待を寄せた。特に大阪府知事だった
橋下徹氏が作った「大阪維新の会」は、石原慎太郎氏らの「太陽の党」と合併
して「日本維新の会」を結成した。橋下氏の強権的な政治手法は「橋下主義(ハ
シズム)」と批判された36。この表現は「ファシズム」を連想させる。石原氏
は右翼的な政治家として知られており、東京都知事時代に中国との尖閣諸島の
問題を先鋭化させた。(憲法改正ではなく)憲法廃棄を主張していたという点で、
単なる右翼ではなく「極右的」な政治家とみなすべきだろう。橋下氏は「極右」
とは言えないものの、石原氏が共同代表となったことによって「日本維新の会」
全体も極右的傾向を帯びたと言わざるを得ない37。
 このように極右的傾向を帯びた政党が一定程度の議席を国会に得たのは、戦

たとえば安倍
政権はアベノミクスを成功させるために、トリクルダウン(富者が富めば貧者
にも自然に富が滴り落ちるという考え方)を実現するために賃上げするように
産業界に圧力をかけている。市場経済の自律性を尊重するリバタリアニズムの
考えとは、これは一致しない。むしろこれは国家主導型経済政策であり、政権
が総裁人事を通じて日銀を操縦し、経済界も従わせようとしているのである。