人口減少だから経済成長が期待できないというのは、経済学的には間違いだ。
このことを説得的に示した吉川洋の『人口と日本経済』(中公新書)が2016年に出版され反響を呼んだ。
私たちの生活の豊かさは一人当たりの所得で決まる。一人当たりの所得で考えれば、伝統的な経済学では、人口が減る方が豊かになることになっている。
資本装備率を見ても、人口が減っても機械や設備は同じスピードで減らないので、一人当たりの機械や設備は豊かになり、その状況下で生産性がより高くなる。
人口が減れば一人一人が豊かになるというのは、経済学の基本的な命題だ。
そして、一人当たり所得を高めてきた最大の要因は、技術革新をはじめとするイノベーションなのだ。
つまり、人口が減っても、イノベーションによって私たちの1人あたり所得が人口減少のスピードを上回って増加すれば、GDPも減少しない。