冷戦期において、コミュニズムとリベラリズムは対立するイデオロギーとして位置づけられ、世界を二分する大きな対立軸となりました。対立の様態を列挙します。
1. 経済体制:
◦ 共産主義は中央集権的な国有制度を重視し、生産手段や資源を国家が管理・所有することを提唱しました。市場経済ではなく、計画経済を重視しました。
◦ リベラリズムは市場経済を奨励し、個人の経済的な自由と財産権を尊重します。個人の自由な選択が経済の効率的な運営に寄与するとの立場をとりました。
2. 政治体制:
◦ 共産主義は一党制や集産主義的な政治構造を重視し、共産党が中心的な役割を果たすことが一般的でした。指導者や政府が国家経済や社会の方向性を指導します。
◦ リベラリズムは多党制や代議制民主主義を重視し、政府の権力を分散させることが目指されました。市民の権利や法の支配に基づく政治が強調されました。
3. 個人の権利と自由:
◦ 共産主義は社会全体の利益を重視し、個人の権利や自由を制約しました。公共の福祉が重視され、個人の愉しみや儲けは悪とされました。
◦ リベラリズムは個人の権利や自由が最大限に尊重され政府の権能は法的な制限をうけました。
4. 国際関係と対立:
◦ 共産主義は世界革命や社会主義国家の拡大を主張し、冷戦期にはリベラリズム陣営との対立が顕著でした。共産主義陣営としてソ連やアジアが中心的な役割を果たしました。
◦ リベラリズムや自由な市場経済を守るため日本や太平洋諸国が自由主義陣営を形成しました。冷戦の終結後、太平洋圏にも共産主義が浸透してリベラリズム批判がおこりました。