「ははははは」 高田の自信に満ちた高笑いは見せ掛けだけではなかった。廃品回収をやってる近所のアフガニスタン人と懇意になり「赤旗」や
「前進」や「解放」などを分けて貰い、共産党シンパである偽装に余念はなかった。しかし高田の偽装はこれに留まらなかった。しかも、なんとそれは
極右差別主義団体である在特会を立ち上げる前から始まっていたことを、私はこの後思い知る事になる。ケースワーカーの山田さんは帰って行った。

「けっ、キチガイ学会員め!大作の糞でも喰って死ねばいいのに。」高田は一転して山田さんの悪口を言い始めた。「創価学会員というのはもちろん偽装です。」
「あんな池田大作など糞朝鮮人(くそチョソンじん)の人間白丁野郎(インガンペッチョンノム)を崇拝している、犬の子供(ケーセッキ)のような輩なんて
全く話になりません。」私は高田に尋ねた。なぜ創価学会員のフリをしているのかと。「創価を利用しているんです。創価だと役所の審査が甘くなる。
創価の人脈を使えばほとんどフリーパスです。」高田は市会議員の名刺を数枚見せてくれた。私は唖然とした。公明党、共産党、そして密かに中核派と
通じている議員やJR東労組の議員まで含まれていた。

そんな時、高田の今時滅多に見かけないスマートフォンが鳴った。在特会を共に立ち上げた在日帰化人の新井からだった。二人はかつて一旦袂を別れたのだが、
その後も同胞のよしみでつながっていた。実は在特会結成の出会いの場であった国際勝共連合原理研究会に今でも月に1回ペースで参加している。在特会の
主要メンバーはほぼ全員が原理研究会の出身であった。勘の良い右派の人物が在特会の背景に怪しい物があると気づいたので、偽装工作として新井などの
幹部が姿を消したり、一部の幹部が仲違いしたような「演技」をしていたのだ。在特会の後に結成された日本第一党も同じである。