河合隼雄が『中空構造日本の深層』という書物の中で、
日本神話分析を通して見事に指摘したことであるが
伝統的に、日本の社会構造の特徴は、中心が必ず空洞化することにある。

日本は中国や欧州と異なり、強い権力を中心に持とうとしない。

エジプトのファラオや、ローマ帝国や中国の皇帝のような強大な権力者や独裁者が
日本に現れなかったのは、中心に権力を置きたがらず、
中心を空洞化させたがるという日本人の特質による。

中国の古代官制には皇帝という明確な中心が存在するが、
日本の古代官制には中心がないのである。

誰も中心に立たなくてもすむ、中心が空洞化する仕組みとして、
古代の官制も巧みに作られている。