一、ポツダム宣言受諾及び「降伏文書」調印は帝國憲法第十三條の媾和(講話)大權の權限に因りて行はれ、之等を占領統治の入口條約とせば、
取りも直さず、桑港條約も亦占領統治の出口條約として同格の權限に因りて發行されし?と考ふれば、ポツダム宣言受諾以降から桑港條約締結迄の閧フ法的效力は
帝國憲法第十三條媾和大權乃至は桑港條約の效力の範圍内に於てのみ其の效力を認めらる。
 桑港條約にて日本と聯合國との戰爭状態の終了(第一條 (a) ) とあり、一般條約の平時の權限では當然締結は無理である。
何となれば、一般條約にては交戰權の權限は存在しないからである。
 其の占領統治期間中に做されし占領憲法の成立は當然に帝國憲法第十三條媾和大權乃至は桑港條約の效力の範圍内に於てのみ其の效力を認められ、
帝國憲法其の者を改廢する效力を有ちうる筈も無い。

 二、帝國憲法第七十三條及び同第七十五條違反である。
占領憲法の草案はGHQの英文の者であり、是は明かに第七十三條に於ける
天皇の發議權の干犯であると同時の第七十五條にての
天皇の一身專屬權に對する重大な侵害である。
 是と同時に議會に於ける草案の修正も亦第七十三條に於ける
天皇の發案權の侵害に當り、議會は草案修正の權限は認められてをらず、其の權限は唯草案に對する贊否の議決をするのみに留まる。
草案修正の權限は
天皇の諮問機關たる樞密院にある。(樞密院官制第六條の二)

 三、帝國憲法の全面改正は認められてをらず、認められたりけるは部分改正のみである。
何となれば、國體法の改正は國體の變革を意味するからである。

 四、肆(かるがゆゑ)に占領憲法に帝國憲法を改廢する效力は無く、固より帝國憲法の改正法として成立してをらず、後方優位の原則も適用されず。
假に占領憲法は新しい憲法として成立しつとても、帝國憲法にて同憲法に代る新しい憲法の制定を容認する規定は何處にも存在せず、
亦帝國憲法の規定を度外せしとても、帝國議會にて何うして新しい憲法を制定しうる權限があるの歟其の理窟が不明である。
占領憲法制定に對する民意を問ふ選擧も行はれてゐない。(民意の不存在)

 五、追完が做されてゐないので治癒は認められず。
亦追認は帝國憲法への原状囘復されし後に議會にて改めて占領憲法に對する贊否の議決を經てからの縡である。