米ロックフェラー大学などの研究チームは、蚊に刺されやすい人は皮膚に特定の臭い成分が多いことを明らかにしたと発表した。皮膚の臭いが蚊を引き寄せる強さは個人差が大きく、蚊に好かれる人の皮脂には複数のカルボン酸化合物が多く含まれていた。感染症の媒介役となる蚊を遠ざける手法の開発などに役立つ可能性がある。論文は米科学誌セルに掲載された。

黄熱病やデング熱、ジカ熱などのウイルスの媒介役になるネッタイシマカで実験した。研究協力者の腕にストッキングを着用してもらった後、着用者の臭いがついたストッキングを使って蚊が特に好む人を調べた。蚊にとって最も魅力的な臭いの人は他の人と比べて蚊を誘引する強さが4〜100倍だった。数年にわたり実験に参加した人もいたが、蚊に好かれる人は誘引力が強いままだった。

誘引力が強い人と弱い人の臭い成分を比較分析し、蚊が好む人の皮膚で分泌される皮脂には複数のカルボン酸化合物が多いことを特定した。化合物の量や組み合わせは人によって異なり、蚊が好む臭いの成分やパターンが1つでないことも分かった。

カルボン酸化合物は皮膚にすむバクテリアの活動で生じるため、皮膚常在菌の違いが誘引力に関係していると考えられる。食事やスキンケアなどで皮膚の状態が変化すれば、蚊に対する誘引力が下がり、刺されにくくできる可能性もあるという。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC206TP0Q2A021C2000000/