1907年に英国スコットランドで発見された奇妙な動物の化石に、科学者は100年以上も頭を悩ませてきた。約2億3100万年前の砂丘に埋もれたこの化石には、骨は含まれていない。骨の輪郭だけが砂岩に残った「印象化石」だ。かつて科学者たちは、そこにロウや樹脂を流し込んで型をとった。こうしてできた模型から、長い後肢と、短い首、奇妙に短い肋骨、大きすぎる頭部をもつ、体長20センチほどの爬虫類の姿が見えてきた。

【動画】太古の空飛ぶ爬虫類 翼竜
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 この動物はスクレロモクルス・タイロリ(Scleromochlus taylori)と名付けられたが、生態はおろか、爬虫類の系統樹のどこに位置づけられるかも定まらなかった。だが今回、新たな解剖学的な発見により、スクレロモクルスの正体がついに明らかになった。2022年10月5日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された論文によると、化石を高解像度マイクロCTスキャンで撮影した結果、スクレロモクルスはラゲルぺトン科であることがわかった。約2億4000万年前から三畳紀末の約2億100万年前まで生息していた、翼竜と最も近縁なグループだ。

「スクレロモクルスが最初に発見された当時は、あまりにも奇妙な動物だったので、研究者たちは理解に苦しみました」と、論文の筆頭著者である米バージニア工科大学と英バーミンガム大学の古生物学者ダビデ・フォッファ氏は言う。氏らは英スコットランド国立博物館で今回の研究を行った。

 ラゲルぺトン科自体も謎の多い動物だ。最近まで、後肢と頭蓋骨の一部の化石しか見つかっていなかった。しかし2020年に同じく「ネイチャー」に発表された、アルゼンチン、ベルナルディーノ・リバダビア自然科学博物館の古生物学者マルティン・エスクーラ氏らの画期的な研究により、ラゲルぺトン科が翼竜と多くの解剖学的特徴を共有していることが明らかになった。翼竜の進化の起源は化石記録が乏しいせいであいまいだったが、この発見は、化石記録の空白を埋めるのに役立った。

 スクレロモクルスの化石からはほぼ完全な骨格がわかるため、「ラゲルぺトン科の解剖学的構造を初めて完全に近い形で見られるようになりました」とエスクーラ氏は話す。なお、氏は今回の研究には関与していない。

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Yahoo!Japan/National Geographic 10/8(土) 8:30配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/10b3ad88373521d5d14572e9acdfc2adab2504de