中国国家宇宙局などは、2020年12月に無人探査機「 嫦娥じょうが 5号」が月から持ち帰った土壌サンプルから、新種の鉱物が見つかったと発表した。中国が月から新種の鉱物を発見するのは初めてで、10月に共産党大会を控える 習近平シージンピン 政権にとって、科学技術の発展をアピールする機会になった。

9日の発表によると、新種の鉱物は月から持ち帰った玄武岩の粒子の中から見つかった。人類が月で見つけた6種類目の新種の鉱物で、国際機関の認定を経て、月に住むとされる中国の伝説上の仙女にちなみ「嫦娥石」と名付けられた。新種の鉱物を発見したのは、米国と旧ソ連に続き中国が3か国目となった。

 また、この日の記者会見では、研究グループの関係者が土壌サンプル中の「ヘリウム3」の量を初めて正確に測定したと明らかにした。ヘリウム3は未来の発電燃料として期待されている物質で、中国が将来起こりうる月の資源獲得競争を見据えている可能性がある。

 月開発を巡り、中国はロシアなどと連携して月面に研究基地を建設する計画を発表しており、有人月探査「アルテミス計画」を進める米国との間で競争の激化が予想されている。

https://www.yomiuri.co.jp/science/20220913-OYT1T50167/