広島大の堀江信貴教授(脳神経外科)らのチームは7日、脳梗塞患者の頭蓋骨から骨片を採取して「間葉系幹細胞」を培養し、患者に投与する臨床研究の1例目を実施したと発表した。令和5年末をめどに安全性や有効性を確かめる。

チームによると、脳梗塞は脳の血管が詰まって脳組織が損傷する病気で、体に重い麻(ま)痺(ひ)などの障害が残ることが多い。間葉系幹細胞には神経の再生を促す働きがあるとされ、投与により後遺症を和らげる効果が期待できるという。

対象は、開頭手術が必要な中等症以上の患者。手術の際に採取した頭蓋骨片から幹細胞を抽出し、約4週間かけて約1億個まで増やす。発症から2〜3カ月たった患者の静脈に点滴する。計6人で実施する予定。

人工多能性幹細胞(iPS細胞)は移植後の癌(がん)化リスクが指摘され、胚性幹細胞(ES細胞)は受精卵から作るため倫理上の問題を抱えている。間葉系幹細胞は全身の組織や臓器にあり、こうした問題が少ないとされる。堀江教授は「患者の社会復帰への大きな手助けになることを期待している」と話した。

https://www.sankei.com/article/20220907-JBGNPKSLEJI3TE4R2IU6PW5PW4/