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トンガに残る「赤い波」神話は隕石落下による巨大津波だった 神戸大研究者らが発表
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トンガと西ポリネシアの植民地時代以前(16世紀以前)の歴史は、現在も謎に満ちています。考古学では、「トゥイトンガ」と名付けられた国王が、300年以上にわたって南西太平洋と中南部太平洋のいくつかの国を統治し、「トンガ海事帝国」と呼ばれる強国をつくりました。トンガ群島の島々は、中央集権の下にあり、伝承によると中央太平洋の近隣の島々にもその勢力下にありました。
しかし、15世紀中頃に重大な危機が訪れ、群島間の人々の移動は停止。帝国は近隣の首長国への影響力を失ったとされています。変化の理由については、現在でも議論が続いており、内政上の混乱を引き起こした何らかの原因があったと考えられています。

・・・研究チームが現地調査で島内に広範囲に広がる巨大なサンゴの岩に着目しました。
そのひとつが、首都がある本島のトンガタプ島には「マウイロック」と呼ばれる巨岩。長さ15メートル、高さ9メートルで780立方メートルで、最大1600トンと推定されます。この巨岩の下から堆積物や木炭を採取し、放射性炭素年代測定(C14年代測定)で分析したところ、15世紀ごろという結果が出ました。

・・・このような巨大な岩を動かすエネルギー源が見当たりません。一方、海底にクレータが存在することから、津波は隕石の衝突によるものであると推測しました。クレーターはトンガタプ島の南250キロの水深3800メートルの海域にあり、直径は約10キロとされています。
隕石衝突時の影響をシミュレーションしたところ、隕石落下から1時間半後、トンガタプ島は高さ100メートルの巨大津波がトンガを襲われたと計算結果が出ました。・・・

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隕石落下による津波の計算結果。濃い赤色は高さが200メートルに達したことを表しており、黄色は100メートル、緑色は20〜30メートル(クリストファー・ゴメス教授提供)

トンガには、「赤い波(ポークラ)」によって多数の大きな岩が堆積したという伝承が残されています。また、ニュージランドのマオリとオーストラリアのアボリジニの間にも、同じような「赤い海波」の言い伝えがあります。また、トンガ語の「赤い波」は津波を意味します。トンガに残された神話を、理化学的な研究によって裏付け・論証されたことになります。

ー隕石落下の衝撃はどれほどのだったのでしょうか。地震に置き換えられるのでしょうか。
「隕石の衝突は地震のスケールとは比較にならないほどのエネルギーです。・・・津波のヴォルクフロモデルによる計算結果では、落下地点やその周囲では津波の高さが200メートルで、トンガには100メートルの津波が到達したと推定されます」

ー100メートルの津波、想像できません
「珍しいことではないです。例えば、ハワイの火山山体崩壊に伴い、100メートルぐらいの津波は少なくても数回も起きたことがあります。一方、トンガでのフィールド調査によると、津波の遡上高を30メートルまで確認しています」

ー隕石の落下による影響はトンガ以外にも。気候への影響も考えられますか
「今回、発表した論文にあげた隕石はさほど大きなものではなかったため、ニュージランドなどに到達した津波は数メートル規模だと考えられます。ニュージランドの南島の山中の調査では、津波の堆積物が見つかっており、他の隕石の衝突でも大津波が起こっていたのではないかと考えられます。・・・」

20 December 2021
伝説と科学の架け橋:15世紀にトンガ王国に影響を与えた大津波の現場証拠
Bridging Legends and Science: Field Evidence of a Large Tsunami that Affected the Kingdom of Tonga in the 15th Century
https
//www.frontiersin.org/articles/10.3389/feart.2021.748755/full