2021.08.29

1985年に茨城県筑波郡谷田部町御幸が丘(現:つくば市御幸が丘)で開催された国際科学技術博覧会、通称つくば万博は「人間・居住・環境と科学技術」をテーマに最新の技術を取り揃え、数多くの「未来」を見せてくれたイベントでした。万博の恒久施設として建設されたつくばエキスポセンターは、今も多くの人を楽しませています。
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人の数に圧倒されたつくば万博

つくばエキスポセンターに展示されている、「コスモ星丸」と自動演奏ロボット「ワスボット」。どちらも1985年のつくば万博で展示されたもの(以下すべて筆者撮影)
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 36年前、両親に連れられつくば万博を訪れた筆者の目に映ったのは、見渡す限りの人の波でした。万博開催のため常磐線に開設された「万博中央駅」のなかをものすごい勢いで動き続ける人の列を見て、「もしはぐれたら絶対に出会えない」と不安に駆られたことを今でも覚えています。

 駅を出てシャトルバスに乗るためにまた行列、会場入りしてからも人気パビリオンはものすごい人だかりで、どこを見に行けばいいのか困惑したことも、今となればいい思い出です。

 あの日、広大な会場に立ち並ぶ数多くのパビリオンを回りましたが、なかでも印象深かったのが、Bブロックにあった「でんでんINS館」の展示です。
 
 日本電信電話公社(現:NTT)が研究していた高度情報通信網であるINSを生活の中に取り入れた暮らしを体験する内容だったのですが、当時としては『ドラえもん』をはじめとするマンガや映画のなかにしか存在しなかったTV電話が実用化されたという設定になっていました。

 このとき筆者が見たもののなかに、「キャプテンシステム」と呼ばれる衛星放送やデジタル通信ネットワークを使用した、文字や画像情報の伝送やゲームの試遊など、さまざまなサービスを受けられる近未来が表現されていました。現代ではインターネット網の普及により当たり前の話となっていますが、当時としてはこれからやってくる時代をイメージさせてくれる、画期的な内容だったのです。

 他にも、三菱グループのパビリオン「三菱未来館」で見た、海から生まれる命の神秘が示す人類の過去と、これから向かう未来を示す宇宙ステーションのイメージに、強烈に心を揺さぶられたことを覚えています。

 しかし、この日何よりも乗ってみたかったリニアモーターカーは、あまりの混雑で泣く泣くあきらめる結果となりました。いつか乗る機会もあるだろうと思っていましたが、36年経った今でも乗ったことはありません。近いうちにその機会が巡ってくるといいのですが。

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【画像】思い出がよみがえる!85年当時の展示品 「コスモ星丸」グッズは今も購入可能(10枚)
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