2021/02/27 21:05

 クルミを道路上に運び、車にひかせて割って食べるカラスが秋田県大仙市大曲金谷町の交差点に姿を見せている。2016年までの3年間、同様の“技”を持つカラスが市内の野鳥観察家に確認された後、4年間行方知れずになっており、専門家は同一のカラスとみている。

 同市北楢岡の野鳥観察家、鈴木三郎さん(73)が2月15日、同交差点で自分に近づいて来るカラスに気づいた。車に常備していたクルミを取り出して与えたところ、カラスは交差点内にクルミを運び、車にひかせて実をついばんだという。

 鈴木さんは14年2月、クルミを車にひかせて食べるカラスを同じ場所で初めて発見。その後、16年まで毎年2〜3月になると、同じ行動をするカラスを同交差点で観察でき、自らクルミを与えることも多かった。しかし、17年から姿を見かけなくなり、鈴木さんはカラスが死んだ可能性もあると考えていた。

 今年は15日以降、毎日のように姿を見せており、カラスの行動研究などで知られる東大名誉教授(鳥類学)の樋口広芳さんが25日、大仙市を訪れ、鈴木さんとともにこのカラスを観察した。

 樋口さんは、自身がクルミを与えても警戒して取らず、鈴木さんのクルミのみ持ち去ることから、4年前と同じ個体だろうと推察した。「4年間の空白があっても人間を識別するのは驚きだ。クルミを上空から道路に落とし、車にひかせて食べるカラスは他にもいるが、車がクルミをひくように、交差点内を行き来してクルミの置き場所を修正する個体は例をみない」と語った。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210226-OYT1T50261/