内容の寒さは温暖化を帳消しにできそうなのに……。

国連の新しい報告書によると、「エネルギー効率が高くて気候に優しいエアコン」に切り替えれば、今後40年間で最大4,600億トンの温室効果ガスを世界全体で節約できるそうです。これは、2018年に世界が排出した温室効果ガスの約8倍に相当するのだとか。つまりエアコンを進化させれば40年間で8年分の温室効果ガスを削減できると。

Institute for Governance and Sustainable Developmentで冷却効率プログラムのマネージャーを務めるガブリエル・ドレイファス氏は、電話会見で次のように述べています。

冷やし方を間違えると、自分たちを蒸し焼きにしてしまうことになります。

■温暖化を遅らせるにはエアコンの高効率化が急務

冷却技術は、グローバル社会の中で多くの重要な役割を担っています。現在、世界全体で36億台の冷蔵庫、冷凍庫、エアコンなどの冷房機器が使用されているそうです。気候危機が地球を温暖化させる中で、冷房へのアクセスはますます重要になってきています。アメリカでは毎年、暑さで亡くなる人が他の異常気象よりも多くなっています。報告書によると、経済的にゆとりのある人だけでなく、世界すべての人に冷房施設を提供するためには、2050年までに最大140億台が必要とのこと。しかし、今の冷却技術では、エアコンが温室効果ガスを大量に排出してしまうことに。

世界中の科学者たちは1980年代に、エアコンやスプレー、冷蔵庫や冷凍庫などの冷媒として使用されているフロン(CFCs)が、太陽の有害な紫外線を遮る役割を持つオゾン層を破壊していることに気づきました。そこで1987年に各国政府が集まって「モントリオール議定書」という国際条約を可決し、有害な冷媒の使用中止を決めました。

■暑いから冷やしてさらに暑くなる負のループを避けるための政治判断を

ほとんどのエアコンメーカーはもうフロン(CFCs)を使用していませんが、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)と呼ばれる、二酸化炭素の最大1万1700倍も温室効果がある工業用化学物質に取って代わられてしまったことが問題なのだとか。つまり、エアコンが気候変動をとんでもなく悪化させるために、より多くの人々がエアコンに頼らざるを得なくなるってわけです。世界の指導者たちがこのサイクルを断ち切らない限り、不幸な負のループが生み出される可能性があるということになります。背筋だけは凍りそうな話ですね…。

2019年に各国政府はモントリオール議定書のキガリ修正案を採択し、HFCの使用を段階的に廃止することで合意しました。この修正案が実行されると、気温上昇を0.4℃も抑える可能性があるそうです。現時点で、100カ国が修正案を批准していますが、アメリカ、インド、中国などの温室効果ガス大量排出国を含む世界の95カ国がまだ修正案に署名していないようです。

私たちは、HFCだけじゃなく二酸化炭素や黒炭素の排出も減らして、必要なエネルギーも少ない持続可能な化学冷媒に切り替えることで、エアコンをより効率的に動かせる技術を持っています。報告書によると、2050年までにエアコンの効率を2倍にすれば、世界中で1,300ギガワットの電力を節約できるとのこと。これは、中国とインドを合わせた2018年の石炭火力発電の全容量に相当するそうです。

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https://www.gizmodo.jp/2020/08/we-essentially-cook-ourselves-if-we-don-t-fix-air-con.html