「幻の高級魚」とも言われる「シロアマダイ」の稚魚の大量生産に、山口県水産研究センター(山口県長門市)と同県栽培漁業公社が2年続けて成功した。センターの担当者は「卵から稚魚に育てる技術は確立できた」としている。

 センターの阿武遼吾研究員らが13日、発表した。

 発表によると、4月下旬から5月中旬、瀬戸内海で捕獲したシロアマダイのメスとオスの親魚計10匹を使い、採卵や人工授精をして40万個の受精卵を確保。うち26万個を飼育し、14万8千個が孵化(ふか)、50日ほどで体長4センチの稚魚4万匹を育てることに成功した。昨年の実績を生かし、生育段階に応じて水流や水温、光の強さなどを調節した。

 稚魚は体長7センチ前後まで育て、ヒレに目印を付けて来月上旬にも放流する予定。放流後の漁獲状況も検証する。

 シロアマダイは大きいもので60センチを超える。弾力が強く脂がのった身はアマダイ類の中で最も美味とされる。ほとんどとれないことから、県内の市場では1キロ1万〜2万円で取引されることもある。

 センターと県栽培漁業公社は2017年度から、水産庁の委託を受けて卵から稚魚を大量生産する技術の確立に取り組んできた。今後は安定的に受精卵を確保することが課題となる。施設で稚魚を大きく育てることのほか、現在は3カ月ほどで死んでしまう成魚の飼育期間を半年から1年程度まで延ばす技術の確立が必要という。

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朝日新聞デジタル
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