■出土時に杭が刺さっていて話題に、目や皮膚の色も特定、スウェーデン

堂々たる風貌だ。50代くらいだろうか。灰色の立派なひげをたくわえ、イノシシの皮で作った服を着ている。がっしりした胸には石灰で模様が描かれ、遠くにある何かを見つめるように青い目を細めている。「リュドビック」と名づけられたその男は、8000年ほど前の北欧人だ。

 しかし、リュドビックは話せない。まだわかっていないことがたくさんあるだけに、非常に残念だ。

 これは、スウェーデン南部のカナルヨルデンという場所で約10年前に発掘された人骨から初めて復元された顔だ。カナルヨルデンは紀元前6000年ごろの遺跡で、興味深いことに、小さな湖の中心に沈んでいた石壇には、動物や人の骨が何らかの意図をもって並べられていた。

 2018年に発掘に関する論文が公開されると、カナルヨルデンは世界中の注目を浴びることになった。2つの頭骨の中に状態のよい木の杭が入っており、少なくともいくつかの頭骨が杭に刺されていたことを示していたからだ。このようなものが見つかったのは初めてだった。(参考記事:「8000年前の謎の杭刺し頭骨を発見、定説覆す」)

「とても魅力的で非常に複雑な遺跡です」と、カナルヨルデンの発掘プロジェクトを指揮したスウェーデン文化遺産財団のフレドリック・ハルグレン氏は述べる。

 顔の復元を依頼したのは、近くにあるムータラという町のシャルロッテンボリ城という博物館だ。17世紀にリュドビック・ビーリッヒ・レーベンハウプ伯爵が建てた城で、リュドビックという名前はこの人物にちなんでいる。復元された顔は23日から博物館で展示されている。

 ムータラの文化余暇局のトップを務めるハンナ・グラフマン氏は、顔が復元されたことで、町の人々は遠い祖先がどんな姿をしていたかを知ることができると述べる。ただし、リュドビックという名前は「実際に石器時代に使われた名前ではありません」と言う。

カナルヨルデンは、2009年から2014年にかけて発掘された。北欧の中石器時代を研究する考古学者にとっては、特に魅力的な遺跡だ。この時代は北欧で最後の氷河期が終わった後で、1万1000年前ごろからはヨーロッパ西部や北東部から狩猟採集民が流入してきていた。

 カナルヨルデンの人骨は、北欧の中石器時代によく見られる土葬されたものとは異なっている。紀元前6000年ごろに9人の男女の頭骨が何らかの意図をもって湖に沈められた。頭骨はすべて杭に刺さっていた可能性があり、周辺にはイノシシやクマ、シカ、アナグマなどの動物のあごの骨(頭骨は含まれていない)が置かれていた。

「人間と動物が、象徴的な方法で、まるで互いを補い合っているかのようです」とハルグレン氏は言う。

続きはソースで

https://cdn-natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/062300375/01.jpg
https://pbs.twimg.com/media/C5Gex2qW8AAG2Mf?format=jpg

ナショナルジオグラフィック日本版サイト
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/062300375/