0001しじみ ★
2020/06/24(水) 17:52:06.63ID:CAP_USER中央アジア、カザフスタンの草原に、サイガというウシ科の動物が生息している。個体数が激減し、近絶滅種(Critically Endangered)に指定されているこの動物に、今年、明るい兆しがあらわれた。
科学者らは、2007年から毎年春にカザフスタンのウスチュルト台地でサイガの子どもの数を調査してきた。結果は思わしくなく、たとえば2018年は58頭、2019年にはたった4頭しか見つからなかった。
ところが2020年5月の調査では、サイガの子どもがなんと530頭も発見された。ベビーブームが訪れた可能性を示す、歓迎すべき兆候だ。
1980年代までウスチュルト台地には、愛らしい大きな鼻をもつこの動物が何百万頭も暮らしていた。しかし、ソビエト連邦の崩壊後、アジアの伝統薬市場でサイガの角の需要が高まり、密猟が急増。サイガは中央アジアの生息域全体で激減した。
追い打ちをかけるように、2015年には危険な細菌が大発生し、約20万頭ものサイガの命が奪われた。残った個体群も、間もなく70%以上が消滅した。
だが現在、子どもだけでなくおとなの集団も過去10年間には見られなかった規模になっていると、非営利団体「カザフスタン生物多様性保全協会(ACBK)」のサイガの専門家、アルバート・サレムガレイエフ氏は語る。2019年の調査によると、カザフスタンのサイガの個体数が33万4400頭と、その2年前に比べて2倍以上に増えていたという。
「これにはみんな、非常に興奮しています」と、カザフスタン農業省林業・野生生物委員会の報道官、サケン・ディルダクメット氏は語る。「あの大量死の後、国の森林監視員による警備と保護の努力により、サイガの個体数は毎年着実に増えています」
■サイガに立ちはだかる脅威
密猟は減ったとは言え、サイガがさまざまな脅威にさらされていることに変わりはない。
たとえば2014年、カザフスタン政府は密輸と麻薬密売を防ぐ目的で、ウズベキスタンとの国境沿いに柵を設置した。
「まったく役に立ちそうにない柵でした。辺ぴな地域に、有刺鉄線を張っただけでしたから」と、英オックスフォード大学の保全科学者で、サイガ保護連合の事務総長を務めるE・J・ミルナー=ガランド氏は言う。「しかし、サイガの移動を阻むには効果てきめんでした」
サイガは移動性の動物で、厳しい寒さを避けてウズベキスタンで越冬し、4月下旬から繁殖のため北方のカザフスタンに戻ってくる。ところが国境にできた柵のため、この移動は半ばで遮断されることになった。ただ、中には何とかして柵の向こう側へ行こうとするものもいたようだ。
「サイガの毛が柵に絡まっているのを当団体の専門家が見つけました」と、非営利団体「アルトゥン・ダーラ保全イニシアチブ」の全国コーディネーター、ファリザ・アディルベコヴァ氏は説明する。「血もついていました」
幹線道路などの建設も、移動の妨げになっている。
数年前に、サレムガレイエフ氏、アディルベコヴァ氏らは、国境沿いの柵にサイガが通れる隙間を作る許可を政府から取得した。しかし、なぜかサイガはこの隙間を使おうとしなかった。この冬までは。
「今年になって、ウズベキスタンにいる仲間から、サイガの群れが現れたという報告を受けました」とサレムガレイエフ氏が話す。
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