→新型コロナ生存者の肺や心臓、肝臓の機能能低下を示す研究も
→英首相を治療した医師、新型コロナは「現代版ポリオ」

世界中で100万人を超える人が新型コロナウイルス感染から回復したと考えられているが、最初の病状を克服できたとしても、その後に多くの闘いが待っている可能性がある。

  回復した患者の一部は、最初に感染してから数カ月後に息切れや疲労、体の痛みを報告している。香港と武漢で行われた小規模な研究では、生存者は肺や心臓、肝臓の機能低下に苦しんでいることが示されている。そして、それは氷山の一角かもしれない。

  新型コロナは現在、呼吸器系を超えて体の多くの部分を攻撃することが分かってきており、眼球から足の指、腸や腎臓にまでダメージを与えている。患者の免疫システムは感染に対して過剰反応することがあり、それが健康被害を増大させることになる。

  新型コロナ生存者の長期的な健康状態は追跡が始まったばかりだが、類似のウイルスによる過去の感染症からは、その余波が10年を超えて続く可能性が示されている。ある研究によると、重症急性呼吸器症候群(SARS)の生存者は、同感染症がアジアで流行してから最長12年間、肺感染症や高コレステロールに苦しみ、他の人よりも頻繁に体調を崩していたという。

  SARSには約8000人が感染した。世界中で既に400万人余りが感染し、今も感染が拡大している新型コロナでは、健康への長期的被害は今後何年にもわたって社会的セーフティーネットや医療インフラに負担をかけ、経済や企業にも影響を及ぼす恐れがある。

  ジョンソン英首相を治療したニコラス・ハート医師は新型コロナ感染症を「われわれの世代のポリオ」と呼んだ。

一部には希望もある。香港大学の医学教授イバン・フン氏によると、早期の介入が新型コロナ患者の長期的転帰に役割を果たす可能性がある。同氏は4月、市内の病院1カ所から退院した患者200人の90%が1カ月後には完全に回復しているようだと語った。

  同氏は、香港の「早期診断と早期治療」に成功要因があると考えている。ウイルスが体内で害を及ぼす時間を減らせるからだ。

  ただ、これは米国や英国をはじめ、検査が不均一かつ不十分であり、重症患者だけが治療を受けている多くの国では実現が難しいかもしれない。

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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-05-13/QA90YFT0G1KW01