中国の武漢から南西に約1,700km離れた雲南省にある人里離れた洞窟内で、科学者たちが2013年に1匹のキクガシラコウモリを捕獲した。そのコウモリは、新型コロナウイルスと遺伝子配列が極めて類似したコロナウイルス(のちにRaTG13と名付けられる)を保有していた。この洞窟は、2003年に流行したSARS(重症呼吸器症候群)の感染源を求めて中国南部で探索が進められた際に発見された場所で、所在地は公表されていない。

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そしていま、当時よりさらに緊急性の高い探索が展開されている。新型コロナウイルス感染症「COVID-19」を引き起こすウイルス「SARS-CoV-2」の起源となった動物を見つけようというのだ。

宿主の候補とされた動物は、コウモリ、ヘビ、センザンコウだが、そこからどのようにして人間に感染したかは、完全には判明していない。それでも起源となった動物を突き止められれば、これから感染症が流行した際に大いに役立つ。

■ウイルスを求めてコウモリのすみかへ

科学者たちは以前も、20年前に770人の命を奪ったSARSウイルスの発生源を探った経験がある。今回の探索では、その経験が役に立っている。

武漢ウイルス研究所の研究チームと米国の非営利団体「EcoHealth Alliance」の代表で生態学者のピーター・ダスザックは防護服を身につけ、かすみ網を携えて、鍾乳洞に足を踏み入れた。そこをねぐらにしている数千匹のコウモリから糞便と血液のサンプルを採取し、研究室へ持ち帰り、新型のコロナウイルスに感染していないかどうか調べるのだ。

ダスザックは次のように語る。「当時の探索ではSARSに関連するウイルスを探していました。発見されたウイルス(RaTG13)の遺伝子配列はSARSとは20パーセントが異なっていたんです。興味深くはありましたが、危険性が高いとは思えませんでした。ですから、そのウイルスについては詳しく調べず、冷凍庫に保存しました」

彼らはコウモリが媒介するウイルスを中国で過去16年間に500種ほど発見したが、当局に報告したものはSARSに最も類似したウイルスについてだけだ。現在はRaTG13の遺伝子配列が、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2と96パーセントが一致することがわかっている。だが、当時は資金不足が原因で、詳しく調べることができなかったのだ。

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https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200429-00010001-wired-sctch