量子コンピューターの性能を表す指標に「量子ボリューム」を用いることの危険性とは?
2020年03月09日 06時00分

■■一部抜粋(後半略)

従来のコンピューターでは不可能な計算を実現する量子コンピューターは、次世代のコンピューターとして実用化が期待されています。
量子コンピューターの性能を表すため、量子コンピューターの開発に力を入れているIBMは「量子ボリューム」という指標を提唱していますが、
テキサス大学オースティン校でコンピューターサイエンス教授を務めるスコット・アーロンソン氏は「量子コンピューターの性能を示す指標として、量子ボリュームを使うべきではない」と主張しています。

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https://www.scottaaronson.com/blog/?p=4649

2020年3月2日、サーモスタットから航空・軍需産業といった幅広い分野の事業を手がけるアメリカの多国籍企業・ハネウェルが、「量子ボリューム64」の量子コンピューターを開発し、
2020年半ばまでにリリースすると発表しました。IBMは2020年1月に自社の量子コンピューターで量子ボリューム32を達成したと述べており、
ハネウェルは「従来の量子コンピューターより少なくとも2倍強力」とうたっています。

ハネウェル「従来の2倍強力」なQV64の量子コンピューターを開発と発表。2020年半ばまでにリリース - Engadget 日本版
https://japanese.engadget.com/jp-2020-03-04-2-qv64-2020.html
https://i.gzn.jp/img/2020/03/09/turn-down-quantum-volume/img-snap03144_m.png
ハネウェルは「今後5年間にわたり、量子ボリュームの桁数を1年で1つずつ増やしていく」と主張しており、量子コンピューターの分野に大きな革新をもたらす可能性があると注目を浴びています。
アーロンソン氏は友人がハネウェルの量子コンピューター開発に貢献していると述べ、ハネウェルがこの分野に参入したことを歓迎しているとコメント。

その一方でアーロンソン氏は、「ここでハネウェルの発表の詳細についてコメントしたいと思います。
すなわち、量子コンピューターの進歩を判断する中心的な指標として『量子ボリューム』に重点を置き、ハネウェルが自社のデバイスを『最も強力な量子コンピューター』と呼ぶ根拠についてです」と述べています。

ハネウェルが自社の量子コンピューターについて発表してから、アーロンソン氏のもとには「なぜ量子ボリュームが量子コンピューターの指標として重要なのか?」という質問が、ジャーナリストから寄せられているとのこと。
これに対してアーロンソン氏は、「本当に量子ボリュームが重要なのかどうかはわからない」と回答したと述べ、量子ボリュームを性能の指標として使うことに疑問を投げかけています。

そもそも、量子ボリュームはIBMが提唱した基準であり、量子ビット数とエラー率、量子ビットの相互接続性、量子ビットの忠実性や伝導性、といった多様な指標を組み合わせて、量子コンピューターの性能を2の累乗で表すというもの。
IBMが量子ボリュームを2の累乗で表す理由については不明だそうですが、量子ボリュームの狙いは「簡単に定量化できない量子コンピューターの性能を、わかりやすい指標で示す」というものだとアーロンソン氏は指摘。

量子ボリュームでわかりやすく量子コンピューターの性能を消費者に伝えようとする考えについて、アーロンソン氏は「量子ボリュームは正しい方向に向けた明確な前進であるように思えます」と、ある程度は認めました。
その一方でアーロンソン氏は、「特定の指標を達成することが企業や研究チームの『目標』になってしまうと、その指標は役に立たなくなってしまう」というグッドハートの法則を持ち出して、量子ボリュームについて懸念を表明しています。

■■以下略、続きはソースをご覧ください。

https://gigazine.net/news/20200309-turn-down-quantum-volume/
GIGAZINE
https://gigazine.net/