■驚きの繁殖パターン、有袋類オグロワラビーは妊娠中に別の妊娠が始まる

ほとんどの哺乳類のメスは、おとなになると何度か妊娠を経験する。だが、子どもを産むごとに、その子が育つまでの間、しばらく妊娠しない動物が大半だ。もちろん、一生に1、2回しか子どもを産まないものもいる。

 しかし、オーストラリア東部でよく見られる有袋類オグロワラビーの妊娠は常識外れだ。新たな研究から、成熟したほとんどのメスはいつも妊娠しているらしいことがわかった。3月2日付けの学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された論文によると、オグロワラビーは通常、出産する1日か2日前には次の子を懐妊しているという。

 すべての有袋類がそうであるように、オグロワラビー(学名:Wallabia bicolor)もとても小さく未熟な子どもを産む。その子どもは生まれるとすぐに母親の特殊な袋(育児のう)に移動し、そこで母乳を飲んで育つ。論文の共著者で、オーストラリアのメルボルン大学の研究者であるブランドン・メンジーズ氏によると、カンガルーのように出産の翌日に交尾して妊娠する有袋類はいる。しかし、出産する前に別の子を妊娠する例は知られていなかった。

 妊娠中にまた妊娠できる動物は、ヨーロッパに生息するノウサギの一種であるヤブノウサギと、このオグロワラビーだけだ。しかし、ヤブノウサギには明確な繁殖期がある。オグロワラビーのように、成熟するとずっと妊娠を繰り返すわけではない。

 今回の論文には関与していないが、同じメルボルン大学に在籍しているデビッド・ガードナー氏は、次のように話している。「どんな種が対象であっても、繁殖に関する生物学や内分泌学を理解することで、人類の繁殖にも生かせる教訓が得られるかもしれません」。このような研究が重要なのはそのためだ。

続きはソースで

https://cdn-natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/030300152/ph_thumb.jpg?__scale=w:500,h:333&;_sh=0680240930

ナショナルジオグラフィック日本版サイト
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/030300152/